2016/11/18

【記者座談会】中間貯蔵施設が本格着工/ゼネコン大手・準大手が工事粗利10%超え

A 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染で発生した汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設が15日に本格着工した。

B 福島県双葉、大熊両町にまたがる約1600haに、最大で東京ドーム(124万m3)の18倍に当たる2200万m3の除染土壌を貯蔵する施設だ。今回はその初弾で、両町それぞれ7haの敷地に6万m3の貯蔵容量の施設をつくる。
A 現地の様子はどうだった。
C 大熊工区は、敷地の空間線量が高く、防護服を着用しての着工となった。工事の性質上、おめでたいことではないので式典という形式をとらず、伊藤忠彦環境副大臣が工事関係者を対象に訓示を述べるにとどめた。双葉、大熊の両町長らも参加したが、福島の早期復興を望む気持ちと先祖伝来の土地を手放さなければならないという葛藤から複雑な面持ちが見えた。
A 用地の収用状況は。
B 環境省によると、10月末時点で契約済みの民有地は全体の10.6%、約170haにとどまっている。建設予定地の地権者2360人のうち、契約に応じたのは約2割の445人。中間貯蔵は30年が期限だが、搬出先となる最終処分地が明確に示されていないことが契約の進まない要因とみられる。
C 現場の近隣にも、まだ契約が済んでいない家屋があった。現地で取材に応じた伊藤副大臣は今後の動向について「用地の確保状況に応じて決める」と再三繰り返し、次期発注は土地収用の進捗次第といったところだ。ゼネコン各社は受注提案への臨戦態勢を整えている。中間貯蔵施設自体は特殊な工法などが必要ないため、技術をパッケージ化したトータルの提案力が決め手になる。今回の工事の仕様をベースに、より安全で合理的な技術プランを売り込むことになるだろう。
 
◆ゼネコンの採算性が大幅改善
A ゼネコンと言えば、2017年3月期第2四半期決算の発表を見ると、採算性が大幅改善したね。
D 大手・準大手クラスではおよそ7割が完成工事総利益(工事粗利)率で10%を超えたことには正直驚いた。リーマン・ショック後の厳しい時代では粗利5-6%がざらだっただけに、採算性を倍以上に高めた。
E 押し上げ要因はいくつかある。1つは労務費や資材価格が期初に想定していたよりも上昇しなかった点だろう。首都圏を中心に労務のひっ迫を懸念し、各社とも厳しく見積もっていた現れともとることができる。現時点では16年度後半から労務が厳しくなるという見方に変わっており、原価に響いてくるのは次期決算からになりそうだ。
D 不採算工事の消化が進んだことも大きい。まだ残っている社もあるようだが、おおむね“きれい”になったという印象。各社とも9月末時点の工事損失引当金は、3月末に比べて大きく減らしている。新規計上した企業も少なく、悪化要因は少なくなっている。
E 変更工事による追加利益の効果もあったという社もあった。建設会社は工事進捗に合わせて会計処理する進行基準だが、完工時には追加工事利益を上げることになり、上期(4-9月)に大型の完工案件が重なったからだ。
D 安定した受注を続けている半面、施工高が上がらず、売上高が期初予想を下回る企業も続出した。これも工事粗利の押し上げになっている。分母の完工高が低かったことで利益率が上回ったということ。工事採算が大幅に改善し、最高益となった社も多い。減収でありながら大幅増益を達成した。一昔前では考えられないが、今決算を見る限りゼネコンは筋肉質な企業体質になってきた。
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