2012/11/01

【建築】横浜の名建築からデザイン継承の難しさ学ぶ JIA関東甲信越支部

横浜気象台
日本建築家協会(JIA)の関東甲信越支部建築交流部会は10月25日、横浜市内にある横浜地方気象台、ホテルニューグランド、氷川丸の見学会「時を経て輝きつづける建築の記憶-東京・関東の名建築を建築史家と訪ねる-」を開いた。約20人が参加し、内田青蔵神奈川大教授を講師に迎えて建築やデザインを残し、継承していくことの意義や難しさを改めて学んだ。
 横浜気象台は1896年8月に神奈川県測候所として木造で建設されたが1923年9月に関東大震災で焼失。その後、現在の横浜・山手地区中央部にRC造地下1階地上3階建てで再建されたのが27年。設計は神奈川県営繕課が担当した。安藤忠雄氏設計による第2庁舎が2005年7月に完成、本庁舎は資料館として一部が公開されている。
 内田教授は、「本庁舎は、かつて建て替えの話もあったが、横浜のランドマークであり、当時はやりのアールデコを取り入れた貴重な建物なので、何とか残したいということで残った建物。縦長の窓はクラシカルな雰囲気がする。ただし、耐震改修・補強がなされており、開口部は、サッシがスチールサッシからアルミサッシに変わった。その結果、枠が太くなり、スチールサッシのスレンダーな感じがなくなった。耐震改修・補強ではデザインが微妙に変わり、それが全体に影響を与えるというケースがある」と説明。
 ホテルニューグランド本館は渡辺仁の設計により1927年に竣工したホテルで、和洋折衷で落ち着いたインテリアのフェニックスルーム、氷川丸では建造当時のアールデコ基調のインテリアデザインなどを見学した。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!) 2012年11月1日12面

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