2013/07/16

【復興版】震災直後の体験談を無料配布! ラジオ番組も開始 福島建協

福島県建設業協会(小野利廣会長)は、東日本大震災などの災害時に応急復旧に当たった会員企業の技術者らの活躍ぶりをまとめた体験談集『その時、建設業は~緊急出動・対応の記録~』を活用した広報活動を展開している。希望者に体験談集を無料配布しているほか、執筆した技術者らの肉声を伝えるラジオ番組もスタート。また、体験談集の発刊を記念して5月に開いた発表会に参加した高校生からは感想文も多数寄せられた。こうした取り組みは、地域の“危機管理産業"である地元建設企業の理解促進につながりそうだ。


◇直後からパトロール開始

 2年4カ月前の震災直後、大きな揺れを感じた全国の地元建設企業は、行政機関などとの災害協定に基づき、パトロールに出動した。特に地震の被害が大きく、津波にも襲われた地域では、建設企業が昼夜を問わず、道路啓開や人命救助活動、行方不明者捜索などに取り組んだ。しかし、これらの災害対応を行ったのは自衛隊や消防、警察と誤解している人も多い。
 福島建協では、こうした状況を踏まえ、災害対応で建設企業が果たした役割・使命を一般市民に理解してもらうとともに、その活動状況を後世に正しく伝え、今後の対応策に生かしてもらいたいとの思いから体験談集を発刊した。
 具体的には、2011年に福島県を襲った東日本大震災、新潟・豪雨災害、台風15号災害の被災現場で活躍した技術者や経営者、幹部ら34人の体験を克明に記している。

◇線量計が鳴りっぱなし

 福島県南土建工業(白河市)の池田利宣氏は、白河市の葉ノ木平地区で発生した大規模地すべりで生き埋めになった5世帯13人を3交代24時間態勢で捜索。不明者の家族や親せきが見守る中で、重機のオペレーターが食事をとる際もエンジンを止めることなく働いた体験を執筆した。
 福島第一原発事故に伴い避難生活を余儀なくされた田中建設(双葉町)の脇坂薫氏は、線量計のブザーが鳴り放しの状態で、行方不明者の捜索に向かったエピソードを紹介。過酷な環境の中で仕事を全うできたのは「私たちがやらなければ、という使命感だけだ」とつづっている。
 5月に開いた発表会では池田、脇坂両氏ら7人がそれぞれの体験談を報告。会員企業の社員や一般市民のほか、福島工業高校および学法福島高校の生徒約70人を含む約300人が熱心に聞き入った。


体験談報告会の様子
◇500部を無料配布

 参加した高校生からは「いつまた震災が発生するか分からない中でも救助活動や道路啓開などを行った建設業関係の人たちはすごい。自分も建設関係の仕事に就きたいと思った」「救助活動を始め、高濃度の稲わらの撤去作業、復旧作業など、幅広く業界で力を合わせて震災・災害と向き合ってきたのだと初めて知ることができた」といった感想文が同協会に寄せられた。
 同協会では、体験談集を行政機関や学校、関係団体などに配布。配布先から「追加で何部かほしい」といった声や、体験談集の発刊を聞きつけた人から「どうすれば入手できるのか」といった問い合わせがあったため、今回、約500部を希望者に無料配布することとした。

◇肉声伝えるラジオ

 また、今月6日からは体験談集の内容をインタビュー形式で伝えるラジオ番組がラジオ福島でスタートした。14年3月29日まで39回、毎週土曜日午後6時から10分間放送する。さらに、県内のコミュニティーFM6局でも放送するほか、放送後は同協会ホームページ(http://www.e-fukuken.or.jp/)に音声データをアップする予定だ。
 初回の放送では、小野会長が出演し、「実際に災害対応に当たった人の話が大事であり、次の災害の参考になればと体験談集を発刊した。この番組では、県内の建設企業がどのような活動をしているのかを知ってもらう機会にしたい」と語った。

◇体験談の応募先

 体験談集の応募は、「体験談集希望」と明記した上、郵便番号・住所・氏名を記載し、官製はがきか電子メール(atsushi@e-fukuken.or.jp)、ファクス(024-522-4513)で。申し込み・問い合わせは、同協会事業部業務課(〒960-8061 福島市五月町4-25、福島県建設センター3階、電話024-521-0244)。 
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年7月16日

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