山形県鶴岡市は、妹島和世建築設計事務所・新穂建築設計事務所・石川設計事務所JVに委託している文化会館改築の基本設計をまとめた。規模はRC・S造地下1階地上3階建て延べ7149㎡を想定。総工費は約40億円としている。引き続き実施設計を9月までに完了させ、2014年1月から既存施設の解体に着手する。14年度に着工し、16年夏の供用開始を目指す。
既存施設の老朽・狭あい化に伴い、現地で改築する。建設に当たってはホール設備の拡張や楽屋、リハーサル室などの充実を図る。さらに回遊性の高い配置計画は、隣接する市役所やアートフォーラム、致道公園へのエントランスとしての役割も期待される。
メーン機能のホールは、1200席程度を備え、生音が響き渡る形状と舞台音響装置に留意し、音楽や演劇、講演会など多目的な利用を目指す。
外観は、複数の小さな屋根と壁が柔らかく重なった形とし、軒高や形状を変化させることで、多様な空間が連続する回廊を生み出す。回廊は仕切りの位置を変えることで、多様なプログラムに対応する計画だ。
構造は、地上部の架構がRC耐震壁となる。レベル2相当の地震でも短期許容応力度内にとどまるよう十分な壁量を確保する。曲面屋根はボイドスラブで軽量化を図り、捨型枠鋼板と一体化させ、長期的なたわみを軽減。屋根を支持する鉄骨の梁と柱は、鉛直力のみを負担する長期部材とし、屋根面への地震力はスラブでRC壁まで伝達させ、水平力は耐震壁で抵抗する設計とした。
設備は、非常時に最小限要求されるライフラインを保持。再生可能エネルギーの利用や高効率の機器を選定するほか、地中熱利用なども検討していく。建設地は同市馬場町11-1の敷地約1.3ha。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年5月10日
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