2014/08/21

【建築】中央区のシンボル明正小が87年前の意匠で改築! 100年後まで残す

東京都内中心部に残された歴史的建築物の1つ、中央区立明正小学校の改築工事が完了し、9月から「明正小学校等複合施設(明正小学校・明正幼稚園・新川児童館)」として供用を開始する。同校は関東大震災後の1927(昭和2)年に完成した復興小学校で、不燃化のためにRC造を採用するとともに曲線・曲面を多用し、表現主義的な独特のデザインで80年以上にわたり地元住民に愛されてきた。

ステンドグラス
改築に当たってもその意匠を継承し、地域のシンボルとなるデザインの実現を目指した。改築設計は類設計室で担当。ステンドグラスといった旧校舎の部材をそのまま使用するなど施設の内外から学校としての連続性を生み出している。中央区教育委員会事務局の斎藤公一副参事は「新しい時代に即した教育環境や学習習慣を確保するだけでなく、旧校舎の意匠を引き継ぐことで地域から愛され、地域活動の核になる学校になってほしい」と期待を込める。

廊下
目指したのは、100年間使用できる小学校だ。メンテナンス性と拡張性を重視し、児童数の変動や生徒のニーズの変化に柔軟に対応できるように教室数や機能に幅を持たせている。
 内部のデザインも同様で、教室の壁面には全面的に掲示板を設置し、教室の使用方法は使用者に委ねた。中央区都市整備部の松岡広亮営繕課長は「内部は機能的なデザインを避け、教員や児童たちが自由にデザインできるようになっている」と語る。
 エネルギー効率の面でも、太陽熱やクールトレンチ、壁面緑化、雨水利用などを積極的に使用した省エネルギー化を進めることで児童の環境教育にも活用できる環境対策を施している。
 建築施工は松井建設・丸彦渡辺建設・アネシスJV。
〈施設概要〉
 ▽敷地面積=5005㎡▽建築面積=約2600㎡▽延床面積=約1万1700㎡▽構造=RC造地下1階地上6階建て▽設計=類設計室▽建築=松井建設・丸彦渡辺建設・アネシスJV、機械設備=新日本空調・日新設備JV、電気設備工事=大栄電気・常興システムJV▽所在地=東京都中央区新川2-13-4。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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