2014/08/28

【復興版】情報化施工に挑む地元企業 ヒトとマシンで120%の力!!

復興道路・復興支援道路として建設が進む宮古盛岡横断道路で、地元建設業が情報化施工を全面的に採用している。刈屋建設(本社・岩手県宮古市、向井田岳社長)が施工する「腹帯地区道路改良工事」現場だ。GNSS(衛星測位システム)マシンコントロール(MC)ブルドーザー、GNSSマシンガイダンス(MG)バックホウ、TS(トータルステーション)によるMGバックホウ、タイヤローラーの転圧管理システムなどを導入。23日には日本建設機械施工協会(JCMA)東北支部が主催する現場講習会が開かれ、地元建設業やゼネコンなどから約50人、主催者側のスタッフを含めて100人超が参加し、最先端の情報化施工を体験した。

 同工事は、沿岸部の宮古市と内陸部の盛岡市を結ぶ約100㌔の地域高規格道路を構成する「宮古箱石道路」(約33㌔)の一部。明かり工事による切盛土や法面工、舗装工などを行い、2車線の高規格道路を築造する。工事は東北地方整備局三陸国道事務所が発注し、昨年10月に着工した。工事場所は宮古市腹帯第4地割。

刈屋建設は、自社のオペレーターが直接バックホウやブルドーザーを運転する。これまでは情報化施工の経験がなかったが、JCMA本部の「情報化施工委員会復興支援ワーキンググループ(WG)」が、導入を全面的にバックアップする「チャレンジ業者」に応募、その第1号となった。

GNSSによる転圧管理システムの説明に聞き入る
同WGは、重機、測器、レンタル、システムなどの民間会社有志で組織。メンバーは情報化施工の先端を行く技術者や営業マンだ。国土交通省の情報化施工推進会議メンバーも顔をそろえている。チャレンジ業者には、WGメンバーがデータ作成から重機への機器取り付け、運用支援まで、無償でサポートする。

3Dマシンコントロールのブルは、右手を使わなくても施工できる
同社のオペレーターは、「ブルドーザーを情報化施工で動かしている時、右腕が空くのはすごい」「ベテランの土を動かす経験と組み合わせれば、120%の力になる」など、実際にMCブルを使った感想を話す。

トータルステーションを使えば、丁張なしで出来型管理が可能だ

トータルステーションによる出来型管理システム

出来型管理システムによる計測
講習会では、工事現場という実地のフィールドで、MCブルが整地し、MGバックホウが法面施工を指示する場面を始め、TSによる出来形管理やVRS(仮想基準点方式によるリアルタイムキネティックGNSS測位システム)などを参加者は熱心に見学した。

講習会には地元建設業などから約60人が参加。最先端の技術を体験した
復興支援WGの相良幸雄ワーキンググループ長は、「東北の復興事業に、災害にも強く、施工の信頼性やスピード向上に役立つ情報化施工技術を導入してもらおうと活動を続けている。今回の刈屋建設のように多くの地元建設業の方に使ってもらい、復興のスピードが上がればと思っている」と話している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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