2014/08/12

【女性技術者】「夢があるから」必死に取り組む2年目と4年目 現場にも変化が

人口減少や若者の建設業離れが加速したことで、建設業界では『女性』の登用に関心が高まっている。地域建設業も採用を検討する企業が増えており、埼玉県川越市に拠点を置く初雁興業(関根勇治社長、写真中央)では、建築部入社4年目の谷田理恵さん(写真右)と2年目の吉村皐さん(写真左)の2人の若手女性技術者が、男性中心の建設現場で日々奮闘している。女性の目線から建設現場で働くやりがいや課題などを聞いた。
 学生時代、中堅ゼネコンを目指していた谷田さんは、同社でインターンシップを受けたことをきっかけに、「分業化された大手に比べ、少人数のスタッフで所長を中心に現場のすべてを掌握する地域建設業は、ものづくりの実感が大きい」ことに魅力を感じ、同社に積極的にアプローチを開始。女性技術者の採用計画はないと聞いていたが、「会社と連絡を取り合ううちに、チャンスをもらえるのではないかと感じ、一本に絞って就職活動に専念した」結果、念願の採用に至った。
 吉村さんも、インターシップと会社見学会をきっかけに、自分の地元で活躍する同社に関心を持った。説明会で谷田さんに出会ったこともあり、「会社の温かい雰囲気が気に入った。それ以降は一本に絞って活動した」という。
 谷田さんは、入社4年目を迎え、男性技術者と同じ土俵で仕事に臨んでいる。最初は女性ゆえに周囲の人から優しく対応されることも多かったが、経験と知識が深まるにつれ、仕事を巡り職人と意見がぶつかる機会も増えてきた。「けんかできるのも男性と同等に接してもらっているからこそ。意見をぶつけ合うようになってからがスタートだった」と振り返る。
 体力などで男性に及ばない面も多いが、「単純に比べないことも大切。長い目で見て、自分にできることをコツコツ積み重ね、少し遅れても必ずできるようにすることが大切だと思う」と、強い意識で取り組んでいる。
 挫折しそうになるときもあるが、「現場所長として、いつか自分の力で建物を納める」という夢が支えとなり、モチベーションを維持できるという。
 入社2年目の吉村さんは、現場の仕事に必死で取り組む毎日を過ごしている。同世代の友達と比べ過酷に思うことも多いが、「覚悟して入っているため、辞めたいと思ったことはない」ときっぱり。「目標をつくる余裕もないほど忙しいが、職人さんに作業を指示できることも増えてきた」と、徐々に手応えを感じている。
 コミュニケーションの面では、所長から「現場の雰囲気が明るくなり、職人さんが優しくなった」と評価される機会も多いが、一方では、気を遣われるあまり仕事を頼まれず、「男性に比べ、仕事を覚えるスピードが遅れてしまう」と感じることもある。
 現場の女性用トイレや更衣室の設置については、「好きでこの業界に入ったので、2人のために専用の設備を増やしてもらおうとは思わない。汚いと思ったら自分でこまめに掃除をすればいい」と前向きに捉える。
 建設現場に珍しい若手女性技術者となるだけに、「どうせ、結婚してすぐ辞めるだろう」と言われることもしばしばだが、「そんな軽い気持ちでやっていない」と悔しい思いになる。だからこそ、社内のパイオニアとして道を切り拓いている谷田さんの存在を頼もしく感じている。ともに、「女性技術者の働き方を確立させよう」という強い気持ちで業務に取り組んでいる点で共通している。
 関根社長は、若手女性技術者の存在が、「現場を明るくするだけでなく、事故の発生件数も目に見えて減っている」と実感する。今後は、トイレや更衣室などの設備面を整備し、女性が働きやすい環境を充実させる方針だ。
 将来的には、「1級建築施工管理技士の資格を取得してもらい、現場を指揮する人材になってほしい。幼稚園など女性の感性を発揮できる現場で、所長として活躍してもらいたい」と可能性を追求する。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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