2015/12/19

【伊東豊雄】千里青山台団地の「みんなの庭」第1弾が完成! 集会所前に多目的コンロ設置


 都市再生機構西日本支社と建築家の伊東豊雄氏が大阪府吹田市の千里青山台団地で取り組んでいる「伊東豊雄×UR みんなの庭プロジェクト」の第1弾の成果となる多目的コンロ台が完成し、13日にお披露目会=写真=と伊東氏の講演会が同団地集会所で開かれた。団地居住者と一般参加計70人が参加し、交流した。

 みんなの庭プロジェクトは、「居住者と一緒に考え、かたちにしていく作業を通した共有空間リノベーション」として団地の活性化と魅力向上を図ることを目的に伊東氏と都市機構が共同で企画した。団地の中から暮らしを再生する力を醸成する。建築家とのコラボレーションで団地のコミュニティー活性化を図る取り組みは同機構で初めての試みとなる。
 今春から4回のワークショップを開き、ゼロベースで居住者の意見を聞きながら、何ができるかを考えた結果、集会所前にコンロ台を設置することにした。平常時は憩いスペースとして利用しながら、災害時には炊き出しなどにも活用できる。

講演する伊東豊雄氏

 講演で伊東氏は、東日本大震災で仮設住宅におけるコミュニティーの場としてほかの建築家とともに提案した「みんなの家」の事例を紹介。「最初につくった仙台市宮城野区の『みんな家』では、完成時に自分の家が戻ってきたみたいだと利用者に喜んでもらえた」と話した。このほか宮城県岩沼市や愛媛県今治市でも取り組んだみんなの家についても紹介した。
 講演後の質疑応答では、学生から寄せられた「地方創生の取り組みにおける成功と失敗の分かれ目はどこにあるのか」という質問に対し、伊東氏は「まちづくりは全国のいたるところで進められているが、大部分は当たり前のことしかしていないイメージがある」と答え、鳥取県智頭町のユニークな発想によるまちづくりの事例などをていねいに紹介した。
 講演後、参加者は完成した多目的コンロに移動。伊東氏のサインが書かれたれんがを埋め込むセレモニーを実施し懇親した。同団地では、みんなの庭の第2弾となるハーブの庭プロジェクトが計画されており、計画メンバーによるハーブを使った手料理もふるまわれた。
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