2015/07/31

【記者座談会】中央省庁の幹部人事発令、業界への影響は?

A 国会の会期延長に伴い、例年より1カ月近く遅れたけれど、中央省庁の幹部人事が発令された。
B 国土交通省の発令はきょう31日付。大方の予想どおり、技術系トップの徳山日出男技監が事務次官に就任する。徳山氏は、建設業界で知らない人の方が少ないだろ。東日本大震災の発災時は、東北地方整備局長の職にあり、緊急輸送道路を啓開する「くしの歯作戦」などの陣頭指揮をとった。道路局長時代には、橋梁やトンネルの点検義務化などを実現し、維持管理・更新時代の幕開けに注力した。「超」が付くほど膨大なデータを背景に持ちながら、世の中に打ち出すときには、実に簡潔に分かりやすく示す。建設業界の重要テーマである生産性向上にも高い関心を持っており、今後の打ち出しに注目が集まる。

C 後任の技監には、池内幸司水管理・国土保全局長が就任する。技監ポストは、道路畑と河川畑が交代で就くのが通例なので順当な人事だったと言える。
D 業界に精通した佐々木基国土交通審議官は内閣府地方創生推進室長に就任し、その後任にはものすごい勉強家として省内でも有名な西脇隆俊官房長が就く。
B ディベロッパーなどの民間発注者側に太いパイプを持ち、業界を挙げた社会保険未加入対策や設計労務単価の引き上げなど、担い手の確保・育成という最重要テーマに関する各種施策を次々に打ち出した毛利信二土地・建設産業局長は、総合政策局長に就任する。国土交通行政全般をとらえた政策づくりの中で、今後も長期的・安定的な予算確保などに尽力するだろう。
C 後任の土地・建設産業局長には、建設業課長を長く務めるなど、これまた業界に詳しい谷脇暁中部地方整備局副局長を充てる。業界内では「満を持しての登場」と早くも期待が大きい。
D 出先機関は北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、九州の7つで局長が交代する。九州はいわゆる旧建設省系ではない港湾畑で、国交省スタート時の局長以来、歴代で2人目だという。
A 業界では環境省の人事も注目されていた。
B 東京電力福島第一原子力発電所事故の除染で出た汚染土などを貯蔵する中間貯蔵施設の整備、福島県内各地にある汚染土などを同施設に運搬する業務を統括するポストのことだね。吉崎収放射性物質汚染対処技術統括官の後任には、国土交通省の縄田正東北地方整備局長が就く。
C この技術統括官は、2014年9月に政治の判断で設置が決まった本省局長ポストで、2人続けて国交省の道路系技術職を充てることになった。
D 吉崎氏の後任が誰になるのか1カ月以上前から、うわさが出回っていた。うわさの段階から縄田氏が有力視されていたが、そのとおりになった。中間貯蔵施設をめぐっては、用地確保に時間がかかっているものの、並行して施設の設計精度を上げる作業が進んでいる。また、工事発注に備えた検討も始まっている。福島の再生に向けた重要な事業であり、地元に最大限配慮しながら進める必要があることから、縄田氏のこれまでの経験が生かされていくことに期待したい。
C 環境事務次官には、関総一郎地球環境審議官が就く。関氏は東大工学部卒業の技術系だ。「中間貯蔵・環境安全事業」(JESCO)の谷津龍太郎社長に続き、技官として2人目の環境事務次官になる。関氏は採用時は厚生労働省だが、厚労省に勤務したことはない。環境庁からのプロパーだとみれば、5人目のプロパー次官に当たる。
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