2012/02/24

東京電力が福島第一原発の海洋汚染拡大防止へ 海底の土を固化土で被覆

工事の概要
 東京電力は福島第一原子力発電所事故に伴う海洋汚染の拡大防止策として、海底土の被覆工事を実施する。1-6号機の取水路前面エリアの海底土を固化土で覆う。施工は五洋建設・東亜建設工業JVが担当する。

 25日から1-4号機側で試験施工を行い、施工性や濁りなどの状況を確認。順調にいけば2月下旬から本格施工に移る。工期は3、4カ月程度を見込んでいる。
 原子炉建屋の前面に位置する港湾内の海底土からは、高濃度の放射性物質が検出されており、波の影響などによる外洋への拡散が懸念されている。現在はシルトフェンスで仕切りを設けているが、海底土にふたをすることにより、水流動に伴う土の舞い上がりを防ぐ。

◇昨年末から配合試験

 東電では昨年12月下旬から、固化土の配合・室内試験を進めてきた。1月下旬には海底状況の調査に入り、2月22日に作業船団の入域を始めた。
 被覆材料は海域環境への影響や施工品質の安定性を踏まえ、ベントナイトにセメントを混ぜた固化土を使う。性質の違う材料を用い、2層構造のふたを構築する。下層には浮遊性が高い海底面の浮泥を被覆するため、軽量の固化土を使用。その上層を充填性・耐久性に優れた材料で覆う。厚みは約60cmで、50年程度の耐久性を確保する。
 施工に当たっては、被覆材料を福島第二原発と小名浜港から海上運搬し、現場の混合船で固化土を製造。クレーン台船に設置したトレミー管を通じ、固化土を海底に注入する。覆土面積は全体で7ha超になる。

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