除染を待つ柏市内の小学校 |
千葉県柏市は、福島第一原子力発電所の事故に伴い放出された放射性物質の除染工事の発注に地域維持型JV(地域JV)を使った一般競争入札(複数単価契約)を試行することにした。2月1日には第1弾となる「柏第三小除染工事」を開札するなど、年度内に17件程度を地域維持型JVに発注する。市レベルでの地域維持型JV試行は、「おそらく全国初では」(市財政部)という。
地域JVは、インフラの維持管理、除雪、災害対応などの業務を、地域の建設会社が持続的に受注できる発注方式。複数の地場業者が共同企業体で競争に参加できる。中国、九州地方整備局が同省直轄工事で採用している。
柏市が地域JVを試行する理由について市財政部は、国土交通省の地域JV指針で業務内容に災害対応が盛り込まれていることや、複数社で受注することで迅速かつ安全に施工体制を築くことができるメリットなどを挙げる。複数社を組ませることで重機確保の面でも融通が利くのでは、と期待を寄せる。
地域維持型JVの構成要件は、市内に本社がある3-7社で、土木一式工事の総合評定値が代表者で900点以上、構成員は600点以上など。
入札参加資格審査申請は2011年12月22日からことし1月6日まで受付。その結果、石浜工業、入吉吉田工業、コスモ工業、日進建設がそれぞれ代表者を務める6、7社構成の4JVが参加資格を取得した。資格有効期間は9月30日まで。
今回、地域維持型JVに発注する除染工事17件は、学校が8件(16校)、規模の大きい公園4件(26園)、スポーツ施設5件(8施設)。いずれも市の施設で、学校の工事概要は校庭の除染や埋め戻し、屋根の洗浄、雨どいの除染、側溝の清掃など。公園では、切削や不陸整正、残土処分、掘削土埋め戻し、高圧洗浄などを実施する。スポーツ施設では、掘削や埋め戻し、残土処分する計画だ。
8日には、田中小・花野井小除染工事、名戸ヶ谷小・大津ヶ丘第一小除染工事、富勢東小・富勢西小除染工事の3件の一般競争入札を予定。早ければ11年度内に17件すべて発注する見通しだ。
今後も除染工事の案件が新たに出た場合、現在の資格有効期間を延長するか、案件ごとに単体企業に発注していくかは、試行の結果をみながら判断する考えだ。
なお、1日には、市内に本店がある単体企業を対象に、かしわ幼稚園除染工事と柏市立酒井根保育園除染工事の2件の一般競争入札も予定している。