2012/02/21

10万円を切る3D設計プレゼンソフト。メガソフトが4万点のデータとともにクラウド進出

iPadに映し出されるプレゼンテーションはリアルさを追求した
 販売価格10万円を切る実務者向け3次元プレゼンテーションソフトとして支持を得ているメガソフト(大阪市)の「デザイナーPRO」シリーズ。主力の3Dマイホームに加え、オフィスとインテリアの全3種類で構成されている。手軽に3次元のレイアウトができるため、工務店などでは営業担当のユーザーも多い。
 ソフトにはメーカー約40社から提供を受け、1万点もの商品の3次元データが収録されている。インターネット上にはさらに3万点もの商品データがラインアップされ、自らのレイアウト図面に実際の商品を配置できる。薄型テレビのようにデータを提供してもらえない家電や照明器具なども、自社でモデル化して提供している。

クラウドサービスを開始

 井町良明社長は「このソフトは設計ツールではなく、あくまでもプレゼンのツール。実際の商品を置き、空間をつくり込めるリアルさと手軽さが支持されている」と説明する。2011年9月からはレイアウトのプランをインターネットを介して専用サーバーに蓄積し、それをスマートモバイルから閲覧できるクラウドサービス『3Dプレイス』を始めた。
 サーバーには、公開エリアと非公開エリアがある。公開エリアでは工務店などが具体のプランを提示し、自社のPRなどに活用している。パスワード管理による非公開エリアでは、営業担当者が顧客にプランを見せる使い方も可能だ。ユーザーの場合、月5000円弱の料金で90日間50件のスペースを確保できる。
 サービスのスタートから半年余りが経過したが、想定していた中小工務店の利用に加え、最近はハウスメーカーからの問い合わせも増えてきた。あるメーカーの住宅展示場では来場者への説明にスマートモバイルを活用する動きがあり、アイデア次第では3Dプレイスが有効に機能する可能性も秘めているとの期待からだ。
 サーバーにプランをアップロードする際に、発信者はコメントを添付することができる。営業担当者にとってはヒアリングした際の要望をプランに反映し、説明付きで顧客に返すことも可能だ。井町良明社長は「見せるツールではなく、見てもらうツールとして活用してほしい。スマートモバイルを使う意味を考えて使ってもらいたい」と強調する。

スマートモバイルを活用

 企業では業務改革の一環として、スマートモバイルの活用に乗り出す動きが拡大している。「顧客と対面しての使い方は本来の意味から外れている。営業マンが介在せずとも、時間と場所にこだわらずプランを見てもらえることがスマートモバイル本来の魅力だ。サーバーにアクセスしてもらえば、自由にプランが確認できる仕掛けとした」
 3Dプレイスの専用ビューアは、無料でダウンロードできる。顧客側にパスワードを伝えるだけで、サーバーが打ち合わせの場所になる。将来的には、ユーザーと顧客の双方向がやり取りできるサービスに拡張する方針だ。

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