2012/02/24

ファシリティマネジメントにもスマートモバイル! グラフィソフトから独立のFM会社ヴィントコン

 グラフィソフト社のファシリティマネジメント(FM)部門から、2005年に独立したヴィントコン(本社・ハンガリー)では、今夏にもスマートモバイル対応のクラウド型支援サービス『ヘルプ・デスク・モバイル』をスタートさせる。2011年5月にリリースしたFMソフト「ArchiFM13」の日本語版の販売が順調に推移していることもあり、ハンガリーと日本で先行してサービスを始めることになった。

 企業が本格的にFMを展開する際、その下支え役となるFMソフトは事業内容に応じたカスタマイズが欠かせない。ヴィントコンがCADベンダーのグラフィソフトから独立したのも、建築設計ツールと違い、FMツールは購入しただけでは活用しきれない点で、販売戦略に大きな違いがあった。営業責任者のアンドラー・シィゲティ氏は「カスタマイズはいわば企業へのコンサルティング要素が強く、ユーザーを支援する役割も担う。ヘルプ・デスク・モバイルを始めるのも、その流れの延長線にある」と説明する。
 具体的には、維持管理に際して不具合が発生した場合、修理などのワークフローをスマートモバイルを活用して管理するもので、点検、修繕、管理の各担当者はリアルタイムに情報を共有できる。GPS(全地球測位システム)機能を使い、モバイル画面には地図上に修繕物件が記され、さらに1日の作業リストなども提示される。ハンガリーではプロジェクトごとでスマートモバイルの活用事例が増え始め、そのニーズを今回のサービスに反映した。アンドロイド版のアプリケーションとして提供する予定だ。

◇FM運用が本格化

 ArchiFMの日本販売店を務めるエクストリーム(名古屋市)の高松稔一社長は発売から10カ月余りが経過し、「既に5プロジェクトに採用され、本格的なFM運用が動き出そうとしている」と明かす。全国に数百棟の建物を管理するユーザーの場合、建物の備品管理まで含めた詳細なソフトのカスタマイズを実施中。最近は、口コミで維持管理会社や不動産会社などからの問い合わせも増えている。
 ヴィントコンが日本販売店を1社に絞り込んだのも、的確なFMのコンサルティングができる条件が背景にあった。アンドラー氏は「ヘルプ・デスク・モバイルは独立した支援サービスとして展開するものの、ArchiFMとの一体的な使い方が理想。日本でも多くの企業に利用してもらいたい」と呼び掛ける。
 企業へのコンサル役も務める高松氏は「日本のFMは建物管理を前提に考える傾向が強い。欧米のような事業を管理する経営手法として捉えてほしい。ソフトのカスタマイズに対しても、ゼロからシステムを構築するために莫大な費用がかかると思われがち。そうしたイメージも含め、日本に真のFMを普及させたい」と意欲的だ。

『AutoCADユーザーのためのArchiCAD読本』 AmazonLink

Related Posts:

  • 大林組が全ての現場でiPad活用へ  大林組は国内すべての建設現場で、タブレット端末「iPad(アイパッド)」を活用したワークスタイルの変革に乗り出す。8月から、施工管理を行う技術職全員に約3000台を配布する。クラウドコンピューティングやBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などの新しいICT(情報通信技術)を組み合わせ、品質・安全管理の向上と業務効率の大幅な改善を両立する。  タブレット端末には施工標準図や安全ダイジェストといった技術、安全資料を標準搭載… Read More
  • 熱負荷計算にBIM導入 大林組が高精度な省エネ設計システム開発  大林組は、高精度な省エネルギー空調設計が容易となる「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)と連携した熱負荷計算システム」を開発した。従来の空調設計は、建築図面を基に手作業で各居室空間のゾーンを分析後、熱負荷計算など一連の作業を実施していたが、同社によると、今回開発した国内初のシステムにより、それら一連の作業が一貫して行え、関連する作業時間が従来に比べてほぼ半減するという。  建物の空調設計は、設備設計者が建築図面で居室の… Read More
  • 誰でも手軽に3Dプレゼンができる! メガソフトの「オフィスデザイナー」 ソフトのイメージ 「年齢や実務経験に関係なく誰もが手軽に使えるソフトを目指している」と強調するのはメガソフト(大阪市)の井町良明社長。実務者向けの3次元プレゼンテーションソフト『3Dオフィスデザイナー』を、3年ぶりにバージョンアップした。  販売価格で10万円を切る3次元ソフトの提供をウリにしている同社がオフィスデザイナーシリーズを市場投入したのは1999年。パッケージ形態の大量生産で低価格化を実現したことにより、設計事務所や建設会社など幅… Read More
  • 世界初の連結型蓄熱槽でピーク電力55%OFF 東京電機大の千住キャンパス 校舎内のシャフトに設けられた蓄熱槽 東京電機大学は、東京千住キャンパス(東京都足立区)にヒートポンプ蓄熱システムと最先端の省エネルギー技術を使い、ピーク電力を55%削減することに成功した。夏季にピーク電力を迎える平日の昼間2時の7月の開校日平均実績は1500㌔ワットで、蓄熱システムを導入しなかった場合の試算と比べると約40%減、約1000㌔ワット減り、キャンパス全体に施した各種エネルギー技術を導入しなかった場合と比べると約55%減、約190… Read More
  • BIMを使って入居者説明 中部整備局が静岡・新設庁舎の設計で初実施 入居官庁への説明で使われたBIMモデル  中部地方整備局営繕部と静岡営繕事務所は21日、同局として初めて、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用して、庁舎新設の設計プランを入居予定官庁に説明した。同局がBIMを試行している「静岡地方法務局藤枝出張所」(静岡県藤枝市)がそれ。国土交通省官房官庁営繕部が検証を進めているBIM導入プロジェクト3件のうちの1件で、設計業務での活用となる。既に東京都内の案件で設計内容の可視化… Read More

0 コメント :

コメントを投稿