首都直下地震など大規模地震への切迫性が指摘される東京都。行政にとって「人命救助」が至上命題となることは言うまでもない。かぎを握るのは発災からの72時間、いわゆる初動対応だ。そこには物資輸送や救助活動に必要となる「道路啓開」など建設産業が担うべき役割は多い。動向を追った。
【メディア局から】
実は、地震などの災害時のインフラパトロールは、全国で地域の建設業が担当しています。東日本大震災でも、自衛隊が被災地に入るための道路啓開は、地元建設業者が自前の重機を使って行ったケースが多いのです。
発災時の迅速な初動態勢の構築は、首都直下地震など大規模地震への切迫性が指摘される都にとって喫緊の課題だ。特に発災直後の混乱の中、道路啓開などに必要となる重機の確保策は大きなテーマになっている。
道路管理者である都建設局では、各建設事務所がそれぞれの所管区域にある路線ごとに「緊急道路障害物除去作業」の協力業者を指定。震度6弱以上の地震が発生した場合には、協力業者が自主的に路線の状況を緊急点検、各事務所に被害状況を報告する枠組みを整えている。
しかし、実際には地価の高い都心部などでは道路啓開などに用いる重機を企業が保有しているケースは少ない。また、仮に首都直下地震の発生で道路啓開が必要になった場合を想定しても、公共交通機関や道路交通がまひする中で、他県に住む作業員(オペレーター)が即座に駆けつけられるかと言えば、そうではないのが現実だ。
◆ ◇ ◆
混乱の中でいかに必要な資機材を確保するか--。
実際に都では、昨年12月から災害対応に用いる重機を試験的に配備する、全国的にも珍しい取り組みがスタートしている。
都建設局第三建設事務所(三建)と東京都道路整備保全公社(山口明理事長)が整備した防災対応専用の資機材置き場「道路防災ステーション」がそれだ。
三建管内にある大和陸橋(中野区大和町1丁目)の高架下に、都のパートナーである東京都道路整備保全公社が道路啓開など災害対応の初動期に用いるホイールローダや資機材を常時配備。仮に災害が発生した場合には、この「道路防災ステーション」に行けば、必要な資機材を確実に調達できる仕組みだ。
オペレーターの確保など、業界団体や地元企業との連携が大前提にあるが、今後こうした取り組みに広がりが求められることは間違いない。
◆ ◇ ◆
警視庁が4月にまとめた『警視庁大震災対策推進プラン2014』には、大規模災害に備えた「災害重機部隊」の創設も盛り込まれるなど、初動対応における重機の確保は大きな問題意識として広がっている。
都は4月に発災後の72時間を中心に警察や消防、自衛隊などを含めた各機関の応急対策活動における基本マニュアルとなる『首都直下地震等対処要領』を策定した。今後より具体的にマニュアルの詳細を詰めていくことになるが、初動対応では建設産業も「各機関の1つ」として重要な役割を担う。
特に、行政にとっては地理的な感覚を持ち、機動力にも優れる地元企業は信頼できる強い味方だ。建設産業の存在こそがカウンターパートとしての災害対応の備えになることは言うまでもない。
東日本大震災以降、注力してきた大規模災害への“備え”が着々と固まりつつある中、その重要なピースの1つとして建設産業に大きな期待がかかる。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
【メディア局から】
実は、地震などの災害時のインフラパトロールは、全国で地域の建設業が担当しています。東日本大震災でも、自衛隊が被災地に入るための道路啓開は、地元建設業者が自前の重機を使って行ったケースが多いのです。
発災時の迅速な初動態勢の構築は、首都直下地震など大規模地震への切迫性が指摘される都にとって喫緊の課題だ。特に発災直後の混乱の中、道路啓開などに必要となる重機の確保策は大きなテーマになっている。
道路管理者である都建設局では、各建設事務所がそれぞれの所管区域にある路線ごとに「緊急道路障害物除去作業」の協力業者を指定。震度6弱以上の地震が発生した場合には、協力業者が自主的に路線の状況を緊急点検、各事務所に被害状況を報告する枠組みを整えている。
しかし、実際には地価の高い都心部などでは道路啓開などに用いる重機を企業が保有しているケースは少ない。また、仮に首都直下地震の発生で道路啓開が必要になった場合を想定しても、公共交通機関や道路交通がまひする中で、他県に住む作業員(オペレーター)が即座に駆けつけられるかと言えば、そうではないのが現実だ。
◆ ◇ ◆
混乱の中でいかに必要な資機材を確保するか--。
実際に都では、昨年12月から災害対応に用いる重機を試験的に配備する、全国的にも珍しい取り組みがスタートしている。
都建設局第三建設事務所(三建)と東京都道路整備保全公社(山口明理事長)が整備した防災対応専用の資機材置き場「道路防災ステーション」がそれだ。
三建管内にある大和陸橋(中野区大和町1丁目)の高架下に、都のパートナーである東京都道路整備保全公社が道路啓開など災害対応の初動期に用いるホイールローダや資機材を常時配備。仮に災害が発生した場合には、この「道路防災ステーション」に行けば、必要な資機材を確実に調達できる仕組みだ。
オペレーターの確保など、業界団体や地元企業との連携が大前提にあるが、今後こうした取り組みに広がりが求められることは間違いない。
◆ ◇ ◆
警視庁が4月にまとめた『警視庁大震災対策推進プラン2014』には、大規模災害に備えた「災害重機部隊」の創設も盛り込まれるなど、初動対応における重機の確保は大きな問題意識として広がっている。
都は4月に発災後の72時間を中心に警察や消防、自衛隊などを含めた各機関の応急対策活動における基本マニュアルとなる『首都直下地震等対処要領』を策定した。今後より具体的にマニュアルの詳細を詰めていくことになるが、初動対応では建設産業も「各機関の1つ」として重要な役割を担う。
特に、行政にとっては地理的な感覚を持ち、機動力にも優れる地元企業は信頼できる強い味方だ。建設産業の存在こそがカウンターパートとしての災害対応の備えになることは言うまでもない。
東日本大震災以降、注力してきた大規模災害への“備え”が着々と固まりつつある中、その重要なピースの1つとして建設産業に大きな期待がかかる。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
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