2014/05/27

【人材育成】信頼される現場代理人を養成! 高砂熱学「テクニカルアカデミー」


テクニカルアカデミーで行われる新入社員研修
高砂熱学工業は4月、技術教育機関として技術本部技術企画部に「テクニカルアカデミー」(竹田吾郎技術本部技術企画部テクニカルアカデミー長)を新設した。今期を初年度とする3カ年の中期経営計画(-2017年3月)の重点取り組み課題の一つである「施工現場力の強化」に向けて、「信頼される現場代理人=エンジニアを育成する」(大内厚社長)。竹田テクニカルアカデミー長は、「人材の育成に特化し、未来の高砂グループを担う人財をつくり上げる」と話す。
 テクニカルアカデミーのコンセプトは、「信頼・信用される現場代理人を一人でも多くつくり上げる」ことだと言う。
 「そのために何をすべきか、正直、現在まだ模索中だが、決して頭でっかちではなく、教育と現場がリンクする、現場に即した教育ができるようにしたい」と話す。
 例えば、「知識だけではなく、立ち振る舞いや品格、お客さまとしっかりした信頼関係を築くことができる、信頼されるに値する人財を育て上げる」
 自身、現場経験も長い。「高砂は技術員が第一線で活躍し、いままでの伝統・歴史の中で先輩方が非常にお客さまから信頼されてきた。それぞれ手法や対応、技術力を説明して納得してもらうといった手腕、ノウハウが優れていて信頼を得てきたと考えている。そうした技術員を一人でも多く増やしたいと考えている」
 既に、ことしの新入社員教育からアカデミーの活動を本格化させている。これまで、新入社員教育は2週間の集合教育の後、現場でOJT(職場内訓練)が中心だったが、今期から「半年間教育し、右も左も分からない状況で現場に送り出すのではなく、ある程度の知識を身につけた後に現場に送り出す」ことにした。
 「今までより長い教育期間があるためカリキュラムのボリュームも増え、現場にリンクした内容や現場で想定されるような内容のカリキュラムを入れたり、できるだけ何回も反復させ知識を定着させた後に現場に送り出すことをコンセプトに取り組み始めた」という。

テクニカルアカデミー長の竹田吾郎氏
「従前と比べて特に大きく変わったのは施工図と設計の基礎を学ぶ時間を徹底的に増やしている点で、ほかにも現場に出てすぐに必要となるであろう安全書類やコンプライアンス(法令順守)、なかなか教育の機会が少ないCSR(企業の社会的責任)や知っておくべき会社の基本的なところもきちんと教える」
 6カ月の間に2カ月は近郊の現場で研修的に現場体験し、その後また座学で知識を身につける。
 「現場の経験に勝るものはない」ときっぱり。「何よりも社員を育てることがどれだけ会社にとって重要かということを社員全員の方に認識してほしい」と言う。そうした啓発活動にも取り組んでいきたいと考えている。
 また、「グループ会社とも連携し、交流を通してグループ全体のレベルアップと理解を深めたいと考えている」ほか、「将来は海外のエンジニアの教育にも視野に入れている」
 「所長クラスや信頼・信用される現場代理人をつくり上げるためには“1年生”だけでなく、“2年生”以上の教育も欠かせない」。これまで同様、「コンセプトは入社5-6年生で1万㎡程度の小さな現場の所長ができる人材を育てる」
 今期、計画している「高砂技塾」との連携も考えている。「高砂マイスター(高砂熱学認定優秀技能者)や登録基幹技能者を中心とした取り組みができていければ全国的にも広げやすい」とみている。
 そして、「方向性の一つとして考えているのは、本当に“学校”にしようかと思っている。学びたい時に学びたい人が集って真剣に学んで何かを得て帰って行くような“学校”にしたい」と思い描く。
 「まだまだ試行錯誤で、教育の効果はすぐに見えないが、現場の思いをできるだけくみとって教育に反映できればと思っている」
 (たけだ・ごろう)1994年3月大分大大学院工学部化学環境工学専攻修了し同年4月高砂熱学工業に入社、東京本店技術3部1課に。西日本事業本部広島支店四国営業所技術課長、西日本事業本部大阪支店技術2部3課などを経てことし4月から技術本部技術企画部参与兼テクニカルアカデミー長兼社長室参与。趣味のテニスも「最近は多忙でできていない」(笑)。熊本県出身。68年8月20日生まれ、45歳。
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