LCC専用ターミナルビル完成イメージ |
サテライト内部 |
◆空港敷地内に初の60mクローラクレーン導入
本館の鉄骨建て方では60メートルのクレーンを2台導入 |
現場では規制上、高さ45m以上のクレーンは使えないが、鉄骨建て方を2カ月の工期で完了させるため、「空港敷地内で使用許可が出たのは恐らく初めて」(寺腰所長)という60mのクローラクレーンを2台導入し、作業を効率化している。
空港内という特殊条件下にある現場では、旅客機や貨物車両の運航を妨げずに工事を進めることが絶対条件だ。寺腰所長は、これまでに成田空港で第1PTB・第2PTBの改修や連絡通路の設置などに携わり、空港内での工事を知り尽くしているだけに、現場で「落ちない、落とさない、飛ばさない、燃やさない」を徹底する。
「飛行機が行き交う制限区域に現場からねじ一本でもまぎれこめば、運航の遅延につながる可能性もある」ため、資材などの飛散防止には特に注意を払っている。鉄骨溶接の作業時には「火花がパイロットから見えないように、飛行機側にシートを設置して作業している」という細かな配慮も忘れない。
◆緻密な工程管理
セキュリティーが厳重な空港敷地内への資機材搬入などには苦労も多い。現場にたどり着くためには検問を受け、ゼネコンの事務所が集まる成田国際空港株式会社(NAA)の建設センターで許可証を発行してもらう必要がある。センターから現場までは空港の外周を通って約6㎞の道のりがあるため、資機材の搬入などに当たっては、一般的な現場以上に緻密な工程管理が求められる。
4月中旬時点で現場作業員は約200人だが、今夏に迎える最盛期には2倍の約400人に増加するため、「大型バスによるピストン輸送など効率的な輸送を検討している」(寺腰所長)という。
新設するLCC専用PTBは、利用航空会社の使用料を抑制するため、できるだけシンプルな構造にして建設コストを低減している。本館、サテライトとも外壁には主にサンドイッチ断熱パネルを採用。内部は吹き抜け空間をなくすことで空調費を抑えるほか、天井仕上げもなくすなどしてコストを削減している。
年間取扱旅客数約750万人、年間発着回数約5万回を見込むLCC専用PTBは、各方面からの注目度も高い。寺腰所長は「成田と地方、海外の都市を結ぶことで成田、ひいては千葉県の発展に貢献できれば」と目を細めるとともに、「運航に影響を与えることなく、無事故での完成を目指したい」と気を引き締める。
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