現場から離れた場所へ画像や音声をクリアに伝えることができる |
「現場の状況はパソコンから送られてくる写真などで把握するのが一般的だが、日々の進捗を映像でしっかりと確認できないかと考えた」。開発に乗り出したきっかけを荒木専務はこう振り返る。当初は防犯カメラをベースに開発を進めていたが、必要に応じて機能を付加していくことが難しかったため、一度原点に立ち返り、共同開発者であるジェイテック(上越市)と試行錯誤しながら、現在のシステムにたどり着いた。
OPECAは、高画質な映像をインターネット回線を介して伝送することで、現場から離れた場所でその状況を即時に見ることができる。同時に双方向の音声交信が可能なことから、遠隔地との情報共有がより容易となる。
ライブカメラ(デジカメなどで代用可)、ヘッドセット、コントロールユニット(データの送受信機)などの機材は、ウエストポーチ型のキャリアバックに収まるほど軽量・小型なため、撮影者(作業員)への負担も少なく、さまざまな場所に足を運べるのも大きな特長だ。また、工法のように現場条件に合致する必要もなく、用途に応じて使える。
公共工事竣工検査にも使用されている |
狭あい空間での検査が安全かつスムーズに進んだことから、発注者の評判は上々だが、荒木専務は「新潟県土木部の前向きな対応がOPECAの可能性を広げてくれた」と謝意を表す。さらに、整形後の法面のような墜落・転落の危険性が伴う個所でも有効性を発揮しているという。
このほか、移動性とリアルタイムの利点を生かし、遠隔地での部材の材料検査にも活用。除雪パトロール車への搭載(路面状況の確認)、河川や港湾の監視用として現地まで持ち運んで固定化するなどの活用実績もあり、「利用者からのさまざまな提案に応えることで、技術力が向上していく」と、想定外の使われ方が拡張性、汎用性の高さにつながっていくとみている。
大手製造業から工場内の巡視用として引き合いはあるものの、「あくまで本業である土木工事(での利用)に軸足を置き、普及を図っていく」考えで、販売代理店を通じ、利用者のニーズを的確にとらえながら、マイナーチェンジを図っていく方針だ。
タイプはWi-Fi、3Gの2種類。Wi-Fiの方が映像は鮮明だが、通信距離に制限がある。一方の3Gは画質は若干落ちるが、携帯電話の通話エリア内であれば通信距離に制限はない。両タイプとも録画機能を搭載している。
専用操作ソフトウエアの「OPECA LSC」を利用すると、画面を最大16分割して表示。マルチ受信で異なる現場の状況を1画面で確認できる。また、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットも利用できる。
メードイン新潟での活用実績(3月末現在)は42件。全登録技術(約160技術)の中で上位に位置している。このほか、国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)や「Made in上越」にも登録している。
製品は販売のほか、レンタルも展開。詳細は同社か、販売代理店であるニッショウ、金井度量衡、サンワ、松本鋼機、新越開発、創友まで。
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