16日に報道陣に公開された東京電力福島第一原子力発電所での凍土遮水壁実証試験。写真は、凍結管の前で説明する担当者(代表撮影) |
A 16日に東京電力福島第一原子力発電所の汚染水対策の一環として進む「凍土遮水壁」の実証試験が公開された。現場の様子はどうだったのだろう。
B 今回公開されたのは、あくまで凍土壁の遮水性や耐久性を実証するための試験ヤードだったけど、大規模実証事業となる本体工事に向けて、「技術的に難しい課題はない」(高村尚鹿島土木設計本部設計長)という力強い言葉が印象的だった。現地の特異な条件下でも、凍土壁がしっかり構築できていることを確認しているだけあって、本体工事に向けて何ら不安はないという感じだった。
C 本体工事は、1-4号機(建屋)を囲む総延長約1500m(深さ30m)の凍土遮水壁を構築する大規模プロジェクト。国内で多数の使用実績がある凍結工法とはいえ、過去最大規模となるね。
B 着手は6月を予定しているが、原子力規制委員会の“ゴーサイン待ち”のようだ。凍土壁の構築は重層的に講じられている汚染水対策の1つ。これだけでは駄目だが、これがなければ対策にならないというような位置付けとなる。そこに建設産業の技術力というか知識や経験が生かされていることを本当の意味で目の当たりにした気がした。
A ところで凍土遮水壁ってどのくらい硬いの。
B ハンマーで叩いた感じでも「凍っていた」ということが分かった。現地公開のために掘削して、むき出しになっている部分を見学したので、もちろん外気で若干は溶けていたのだろうが、地中部分はしっかり凍り十分な強度があったと思う。
C 凍土遮水壁の現場に限ったことではないが、特異な環境下で工事を進める作業員には本当に頭が下がる。最終目標である原子炉建屋のドライアップ(地下に滞留する汚染水を完全に除去する)にはまだまだ時間はかかるだろうし、汚染水対策に限らず、東日本大震災からの復興の道筋には建設産業の技術力が欠かせない。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
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