粕屋町総合体育館を始め国内外の実績は1500件 |
FGTシリーズはガラスクロスをテフロンコーティングした素材。構造材料と内装材料を使い分けられるように厚さ0.23mmから1.0mmまで全7タイプを用意している。近年では“鳥の巣”と評された北京五輪のメーンスタジアム『北京国家体育場』でも天井材として6万㎡規模が採用されるなど、その特性が存分に発揮されている。
表面は「テフロン加工のフライパン」 |
ニーズの高まる天井部では、あえて膜材自体をたるませて設置するケースも増えてきた。ベースの下地と膜材の間に生じた隙間の中に音を閉じ込め、吸音させるためだ。東京国際空港国際線旅客ターミナルビルでは厚さ0.37mmの「FGT-250」が採用された。素材には細かな孔が空いており、音はそこから中に入る。
採用された要因は、ほかにもある。東日本大震災の天井落下被害を受け、より軽い素材を天井材として使いたいというニーズが高まっているためだ。FGTの重量は1㎡当たり500グラム。小川主査は「仮に落下した場合でも、他の素材に比べてけがをするリスクは少ない。たるませて設置できるなど意匠性にも優れている」と説明する。
近年の販売比率は、海外が8割以上を占める。日本では大型スタジアムの建設が一段落し、駅舎プラットホーム屋根や歩道屋根などが中心となるだけに、膜天井ニーズへの期待は大きい。同社は東京国際空港国際線ターミナルビルへの採用を足がかりに、膜天井需要の開拓に乗り出す。
初採用された東京ドームの完成から四半世紀が過ぎた。高耐久を売りにする建築構造膜材。小宮部長は「いまだかつて膜材を交換したケースはない。リピート需要に発展しないことは残念だが、それだけ素材がしっかりしている証明でもある」と手応えを口にする。
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