2014/05/06

【BIM】刑務所建築にBIM活用 アジアで実務者会議


8カ国1団体が参加
矯正施設建築のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)活用をアジア各国へ--。刑務所などの矯正建築技術が社会の治安維持に重要な役割を果たしていることを踏まえ、計画、設計などに携わる政府職員、技術者、研究者が相互に協力・情報共有することを目的に設立された「アジア矯正建築実務者会議(ACCFA)」。昨年のタイに続く第3回会議が3月15日から19日の5日間、マレーシアのランカウイ島にある矯正研修所で開かれた。日本からは、法務省の富山聡施設課長ら4人が参加。BIMの活用事例を3Dモデルを使って紹介した。
 参加国は、日本、マレーシアのほか、カンボジア、香港、インドネシア、韓国、シンガポール、タイの8カ国と、ICRC(赤十字国際委員会)。矯正施設を所管する各国の省庁や公共事業省の建築担当幹部職員らが参加した。
 議題は▽矯正施設に関する現状と課題▽矯正施設整備における設計者の役割▽矯正施設整備における国際協力の促進▽施設内処遇プログラムを反映した施設整備--の4項目。このうち、日本は矯正施設に関する現状と課題に加えて、大阪拘置所など、現在進行中の案件を例に矯正職員の意見を反映した矯正施設の設計手法や、環境配慮に対する取り組みなどを紹介。その上で、矯正施設整備における設計者の役割では、現在設計中の西日本矯正医療センター(仮称)におけるBIMの活用事例を、3Dモデルを用いて紹介した。

法務省からは4人が参加
法務省はBIMをコミュニケーションツールととらえ、矯正職員との協議や設計の確認に活用した結果、職員への設計意図伝達がより円滑になり、協議における矯正職員との意見交換も活発になったことなどを具体的に説明した。
 BIMを活用した設計者と施設管理者との合意形成手法には、シンガポールやマレーシアの矯正処遇専門家から「素人にも理解しやすいが、かえって処遇現場からの意見が多すぎて困るのではないか」「BIMによるプレゼンテーションの段階でどこまでの計画変更を認めるのか」などの質疑が相次ぎ高い関心を集めた。
 また、BIMに関連して、マレーシアとタイが動画を使った新営施設を紹介し、韓国からはBIMを活用した刑務所の建築工事で取り組んだ躯体や仕上げの施工プロセスを説明したり、設備との干渉を修正する手法が示された。
 会議では、会議事務局の設立などを承認、法務省の那花弘行施設課施設設計調整官が事務局長に選出されたほか、2015年にタイまたはカンボジア、16年に韓国、17年にはインドネシアでの開催が決まった。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

Related Posts:

  • 【現場の逸品】BIMへつなぐ測定器開発 ライカがレーザー距離計開発から20年 『D810 touch』 撮影した画像から円の直径を計測 ライカジオシステムズ社が、1993年に世界で初めてレーザー距離計を開発してから20年が経った。その間レーザー距離計は大きな進化を遂げた。単に測るだけだった距離計はカメラを内蔵し、タッチスクリーンが搭載され、写真を使った測定ができるようになった。建築CADとの連携を主体にした3次元測定の専用機器もリリースされた。現場での作業効率は飛躍的に向上する。  同社が昨年リリースした『D81… Read More
  • 【CIM】「3次元の日本列島」を無償提供 金沢のソフト会社 公開地形データをアルゴリズムで統合 「内向きのCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)を外向きに」と語るのは、建設コンサルティングとソフトウエアの開発・販売を手掛ける五大開発(金沢市)の佐藤裕司常務システム事業部部長。構想から5年の歳月をかけた日本列島の3次元地形マップ『GONDWANA(ゴンドワナ)』が完成し、一般公開に踏み切った。国土づくりに関連した情報を集約する“場"として「自由に使ってもらいたい」と呼び掛ける。 … Read More
  • 【BIM】鉄骨構造物専用CAD 構造と設備データを連係強化 スリーブ設置の可否ゾーンを色分けで明示(清水建設-特許申請中) 「これからはモデリング業務にも積極的に乗り出す」と、片山ストラテックの熊谷和彦鉄構事業部副事業部長は手応えを口にする。建築プロジェクトにBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入が拡大する中で、40年前に自社開発した鉄骨構造物専用CAD『KAP』は構造モデルと設備モデルのつなぎ役として有効活用され、それに呼応するように近年はユーザーからのモデリング業務依頼が… Read More
  • 【BIM】防衛省が施設管理にIPD(Integrated Project Delivery)提唱 防衛省の管理する施設は膨大だ 防衛施設学会の研究論文発表の場で、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を使った防衛施設管理の有効性が紹介された。発表したのは学会員で防衛省経理装備局施設整備課防衛部員の加藤琢朗さん。学術的視点からの考察ではあるが、防衛施設が抱える課題解決の手段として、BIMの導入によって関係者が共通の価値観で行動するIPD(インテグレーテッド・プロジェクト・デリバリー)コンセプトの導入可能性にスポットが当て… Read More
  • 【BIM】改修とインフラメンテに威力を発揮する小型3Dスキャナー 改修工事のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)導入やインフラメンテナンスの高度化に向けて、3Dスキャナーの活用に注目が集まっている。 建築設備やプラントの改修工事では、BIMデータと現況の3次元座標データ(点群)との比較や組み合わせにより、既設・新設部分の正確な3次元モデルや施工図の作成、関係者間の合意形成、干渉や施工手順の確認、生産ライン変更の検討などに活用されている。出来形の点群データと当初の設計データを比較することに… Read More

0 コメント :

コメントを投稿