日本有数の桜の名所などとして親しまれている皇居外苑濠の一つ、千鳥ヶ淵の環境再生へ向けた取り組みが本格化する。千鳥ヶ淵は、水質の悪化や周辺環境の変化などにより、本来の姿が損なわれつつある。中心的な課題の水質について、一定の改善が進むめどがついたことから、併せて水生動植物の生息場所や周回歩道などを再整備する計画だ。環境省は現在、検討を重ねている再生プランを2013年度に決定する方針。13年度には先行する形で、新浄化施設の運用による水質改善も始まる見通しだ。
千鳥ヶ淵の再生に当たっては、11年度から有識者らによる検討会を立ち上げ、歴史や自然環境、景観、利用形態などをテーマに、議論を交わしている。
12年度には周辺の牛ヶ淵、半蔵濠、桜田濠を含めて、堤塘の植物や昆虫などの現地調査を行い、生息種を把握する。石垣に生育しているヒカリゴケの分布状況なども詳細に調べる。
また、生物多様性や水質維持の観点から、浅瀬や浮島の造成、沈水・抽水植物群落の育成も視野に入れており、それらの候補地や管理手法を検討していく。公園利用も盛んなため、周回歩道や周辺苑地の再整備イメージも作成する。
12年度中には、千鳥ヶ淵の目指すべき将来像と実現への道筋を示した再生プラン案を作る。13年度に成案化し、同年度から3年程度をかけて実施する水質改善の状況を見ながら、各種再生事業に取り組んでいく。
『皇居―自然・歴史・建築・行事…都心の杜を細見』 AmazonLink
0 コメント :
コメントを投稿