2012/05/08

湾曲する床面で地上と地下をつなぐ建築が完成 保坂猛事務所 磯子の住宅

地下からせり上がる居室の床
 保坂猛建築都市設計事務所(横浜市中区、保坂猛代表)の設計監理による個人住宅が横浜市磯子区に完成した。小さな敷地を最大限に生かす工夫を凝らし、地上3階建てに見える外観は、各階の床面を曲げることで、地下1階地上2階建ての空間を実現した。地階であっても両側の窓から十分な光を取り入れることができ、風が吹き抜ける豊かな居住環境を創出している。
外観
上階の床

 設計に当たって保坂氏は「建築主は親子4人の家族。敷地を最大限に生かしても居住空間には狭小感が残る。何とかある程度のスペースを確保したいと考えた。地下は容積率の問題を解消できるが、湿度は高く光が不足し、風も通りにくい。地下と地上を同じ造りにできないと考えた」という。各階は同じ天井高、窓の高さで、収納家具も同じ場所に配置。床面をせり上がるように曲げたことで天井との間にすき間をつくり、地階でも風の通り道や光を取り入れられるようにした。窓のない壁面は外断熱で覆い、屋根に降り注いだ雨水を地面に導く効果を持たせるなど、さまざまな工夫を凝らしている。
 規模は、RC造地下1階地上2階建て延べ90.84㎡。敷地面積は65.15㎡、建築面積は30.28㎡。構造設計はNAWAKENJI-M一級建築士事務所、施工は栄港建設(横浜市港北区)が担当した。

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