2012/05/01

首都高品川線のトンネル内部を初公開

大井JCTから見た品川線の入り口
 3月22日に貫通した中央環状品川線のシールドトンネル内部が、初めて報道公開された。外径12m超に上る大断面シールドを、約8㌔にわたり一気に掘進するという世界でも類例のない一大土木プロジェクトだ。東京都と首都高速道路会社の共同事業で、両者がトンネルを1本ずつ建設。掘削工事には、全体で延べ40万人もの作業員が従事した。内部の床版、設備工事や出入口、ジャンクション(JCT)との接続工事などを引き続き進め、2013年度末の開通を目指す。
掘進を終えた北行きのシールド機

 中央環状線唯一の未開通区間である品川線は、大橋JCT~大井JCT間の9・4㌔で、このうちの約8㌔がシールドトンネルとなっている。開通すれば供用済みの新宿線と合わせ、総延長18・2㌔の長大トンネルが形成される。その長さは、大都市部の地下空間でありながら、道路トンネルとしてノルウェーのラルダールトンネル(24・5㌔)に次ぐ世界2位となる。
 世界的な記録はこのほかにもあり、首都高側のシールドでは、最速月進708mという世界2位の記録を樹立。都側でも同637mの高速施工を達成した。掘削土の再利用など関連する工程を伴っての実績で、掘進スピード自体はまだまだ上げられるという。
 長距離掘削によるスケールメリットが奏功し、コスト縮減にも寄与した。全体事業費は当初4000億円と試算していたが、現時点では3750億円と、250億円ほどの抑制につながる見通しだ。
 地下10数m、最深で約50mの地中を進んだ2本のシールドは、12mの外径を持ちながら、約3mの距離を隔てて並行している。上下に重なるJCT付近では、最接近距離30cmという神業的な施工を成し遂げた。
 本線シールドの施工は、都側を大成建設・大豊建設・錢高組JV、首都高側を鹿島・熊谷組・五洋建設JVが担当。シールドを地上から発進して斜めに掘り進み、Uターンして地上に戻る「URUP工法」で構築した大井地区トンネルは、大林組・西武建設・京急建設JVが施工。大橋連結路の上下2本のシールドは、ハザマが手掛けた。

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