2012/05/02

東京スカイツリーが地域冷暖房 東武鉄道らがシステムを稼働

初公開の太陽光発電システム
 東武鉄道と東武エネルギーマネジメントが、東京都墨田区押上の東京スカイツリータウンで進めていた「東京スカイツリー地区熱供給(地域冷暖房)事業」が稼働。4月27日には、国内の地域冷暖房で初となる地中熱利用システムを導入したメーンプラントに加え、雨水再利用や太陽光発電システムなど“時代の先を行くエコロジー施設"を報道公開した。

 初公開となった太陽光発電システムは、90ワットの太陽電池222枚を備え、総発電量は約20㌔ワット。商業ビルの8階に42枚、9階に180枚を設置している。発電性能や陰に対する優位性、デザイン性の高さからCIS(薄膜多結晶)太陽電池を採用。太陽電池が高温になると、地下の貯留槽に貯められた雨水を散水し、表面を冷却することで発電効率の低下を防ぐ。
 また商業施設の地下に設置した雨水貯蓄槽は、首都圏最大級の2635tを貯水できる。植物への散水や商業施設のトイレなどにも利用するほか集中豪雨時には一時的に貯水し、周辺への流出調整も行う。
 地中熱利用では、総延長12㌔におよぶチューブに5tの水を循環させ、地中で採放熱する。その後熱源ヒートポンプを用いてさらに変換し、地域導管を通して冷暖房用に供給する。従来の同規模システムに比べエネルギー消費量は年間約44%減、CO2排出量は約48%減と大幅な省エネ効果を見込む。
 整備に当たっては、建物の基礎杭を有効活用する「基礎杭利用方式」(大成建設施工)と、掘削深度と本数を任意に設定できる「ボアホール方式」(大林組施工)の特長を活用している。
 加熱・冷却した水は深さ約17mの水槽に集められ、大容量水蓄熱槽に蓄えられる。冷水槽1槽と冷温水槽3槽の計4槽で、全体の保有水量は約7000t。大規模災害時には約23万人分の生活用水として、墨田区に提供する協定を締結している。

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