3月8日に死去した森稔前森ビル代表取締役会長の「お別れの会」が14日、東京・六本木のグランドハイアット東京でしめやかに営まれた。業界や政府関係者ら故人にゆかりのある約5,000人が祭壇に献花、最後の別れを惜しんだ=写真。
同社の辻慎吾社長は、「あなたのもとで働くことができたことを幸せに思います」と再開発の地権者交渉などのエピソードを交えながら語り、「われわれはあなたの思想、挑戦、情熱を引き継ぎ、いささかもぶれることなく、力を合わせて都市をつくり、都市をはぐくむ仕事にまい進してまいります」と追悼の辞を述べた。
続いて、不動産協会理事長を務める木村惠司三菱地所代表取締役会長は「ある種哲学者のような、思想家のような人だった。一度も共同で事業を行う機会はなかったが、ご一緒していれば都市創造の極意を教えていただけたかもしれないと臍(ほぞ)をかむ思いだ」と弔辞を述べ、建築家の安藤忠雄氏も表参道ヒルズの設計の思い出を語りながら「森さんほど都市を考え毎日話をしていた人を、他に知らない」と述べた。
妻で喪主の佳子さんは「本社からも自宅の窓からも、まちを毎日眺めながら片時も理想のまちづくりが頭を離れなかったように思う。これで終わりということのなかった人なので、雲の上でもっと大きな図面を広げながら理想の都市を描いているのではないか」と謝辞を述べた。
森稔氏は1959年3月東大教育学部卒後、同年6月森ビルを設立。64年に常務、69年に専務、93年に社長、2011年に代表取締役会長に就任。公職にも尽力し、これまでスウェーデン王国北極星勲章(94年)など数々の受章・受賞歴がある。
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