日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は17日、東京都渋谷区の津田ホールでシンポジウム「サッカースタジアムの時代」を開いた。Jリーグ理事を務める傍士銑太日本経済研究所専務理事の講演を中心に、まちの活性化に貢献する地域と一体となったスタジアムの在り方を探った。傍士氏は、街なか、多機能複合型のスタジアム実現に向け、スタジアム学会の創設を呼び掛けた=写真。
20周年を迎えたJリーグは現在40クラブに増え、ホームスタジアムは29都道府県に広がっているが、ハード・ソフト両面で整備が十分とはいえない。
観客席の屋根のカバー率は平均51・0%で、10%未満のスタジアムは42施設中15施設もある。トイレの洋式化率も52・5%で、20%未満が10施設となっている。
国際的なガイドラインでは、すべての観客席を覆う屋根が必要で、現状では困難でも将来は設置するべきとしている。また、トイレ数についても和式はカウントされないことになっている。
傍士氏は「世界標準のスタジアムが準備できていない」ことを課題の一つに挙げ、ハードの機能だけでなく、社会状況の変化に合わせた施設の必要性を訴えた。具体的には、人口減少でコンパクトシティーに向かう中、郊外のスタジアムではなく街なかの立地で、活性化の核となる集客装置としての施設を挙げた。
また「観戦だけを来場の動機とするのではなく、さまざまな動機付けを用意するべき」として、海外にならい、ショッピングセンターやホテル、高齢者集合住宅などとの多機能複合型施設を提案した。
海外では、陸上競技との併用ではないサッカー専用であることはもちろん、まちの文化の象徴、社交の場としてスタジアムは地域に根付いている。災害が多い日本では防災拠点としての役割も求められる。
これらを踏まえ傍士氏は、実践的な研究や規制緩和、法改正などの施策を提言するスタジアム学会の創設を求めた。
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