12万台の交通を止めずに施工する |
◇外環千葉県区間結節の要所
「用地買収は約3000件あったが、残りあと13件まで達した」。東日本高速道路関東支社の河島好広千葉工事事務所長は、全長約16㌔に及ぶ千葉県区間の用地について振り返る。加えて「施工区間全体で、500万m3に及ぶ発生土を場外搬出しなければならない」とも。この土量は東京ドーム4杯分。この量をダンプトラックで搬出するが、この区間にはもともと幹線道路が少なく、大規模地震にも耐える工事専用の長大仮設橋梁も構築している。
工事発注では「設計付入札前技術提案交渉方式」を採用した。
◇工夫凝らし4次元的施工
ジャンクションの工事概要 |
京葉JCT(仮称)の大半を占める「田尻工事」と、京葉道路直下の道路構造物を担う「京葉工事」を総称した稲荷木工区。田尻工事は大成建設・戸田建設・大豊建設JVが、京葉工事は大成建設が単独で施工している。
函体の上に橋脚を載せる構造や、山留壁・杭を切削して通過しなければならないシールドトンネルなど「もっとも構造の複雑な工区がこの稲荷木だ」と、東日本高速の小暮英雄稲荷木工事長は説明する。
田尻工事では、本線990mに加えて、東関東自動車道の高谷JCT(仮称)から京葉道路の東京方面に向かうFランプ、三郷方面からのDランプ、京葉道千葉方面から三郷方面に向かうAランプ、京葉道東京方面から高谷方面へのCランプなどを施工する。また、本線のうち京葉道路を切り回して先行施工する83mを担当しているのが京葉工事となる。
◇供用中の京葉道路を移す
迂回中の京葉道路東京方面行き |
交通を止めずに直線になった |
「生きている交通との近接施工なので、沈下や山留の変形には気を遣う」とは京葉工事の寺下雅裕作業所長。5mピッチで沈下計を設置してきめの細かい管理を行う。既に道路の切り替えを2回経験、期間内の工事完了というプレッシャーも乗り越えてきた。交通の切り替えには、通行止めせず「頭押さえ」と呼ばれる方法を採った。
難所の一つであるAランプは直径13mに及ぶ大断面泥土圧シールド工法による長さ約507mのトンネル、Dランプは小さな箱形の推進機を使って大断面トンネルを構築する「ハーモニカ工法」とアンダーピニング工法を使った非開削トンネルの施工区間だ。
「シールドは大断面にも関わらず最小土被りが約2mという浅深度施工になる。またハーモニカ工法は最小旋回半径を55mにまで向上させた」と枌野勝也田尻工事作業所長は話す。田尻工事を担当する大成JVの総力を挙げて施工に取り組んでいる。
建設通信新聞2012年9月5日12面
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