2012/09/03

お台場と大井結ぶ一般道の東京港トンネル シールド発進へ着々準備

シールド発進に備えて準備が進む立坑
国土交通省関東地方整備局川崎国道事務所は、東京湾の新たな海底トンネル「一般国道357号東京港トンネル工事」の整備に向け、シールドマシンの発進準備を進めている。発進立坑を整備する大井側の立坑掘割区間が8月22日に完了し、3日から現地でシールドマシンの組み立て作業に入る。11月までに完成し、同月にも掘進工事に着手する予定だ。約6カ月をかけて海底を掘り進み、2013年5月末の台場側到達を目指す。施工は設計・施工一括発注(デザインビルド)の総合評価一般競争入札で落札した鹿島・大林組JVが担当している。

◇2本のシールドで海を渡る

 一般国道357号東京港トンネルは、東京湾海底を通る首都高速湾岸線東京港トンネルの渋滞解消に向け、同トンネルと平行し、品川区東八潮(台場側)~同八潮2(大井側)に海側、山側2本の海底トンネルを新設する。海側を先行し、泥土圧シールド工法で、内径10・4m、長さ1470mの海底トンネルを建設する計画だ。
 シールドで掘削する際、渡海部は土被りが小さく軟弱な地盤のため、施工時の浮き上がりに対する安全率が低いのが課題。そのため、トンネルの路面下部に緊急時の避難通路となるボックスカルバートを設置し、その左右にコンクリートによる重量付加部材を配し、浮き上がり防止の“重し"とした。
 また、発進立坑と到達立坑の海底との接合部と、先に東京港トンネルを整備した際の岩ずりの堆積層と接する区間では、合成セグメント(6面鋼殻サンドイッチ型)を使用し、強度を高めている。

◇万全の安全対策

 同工事事務所は東京港トンネル施工技術検討委員会(委員長・今田徹東京都立大名誉教授)をこれまでに2回開き、安全対策の徹底を図っている。この中では国の「シールドトンネル施工技術安全向上協議会」が7月にまとめた中間報告の5項目26の注意事項と、厚生労働省基準局が8月に示した「シールドトンネル施工に当たっての留意事項について」の3項目21の留意事項も安全対策に反映した。
 その結果、新たに、停電時に避難時間などの確保するため30分間の通電を維持できるようにしたほか、シールドマシンのテール部にカメラを設置し、運転中に構内全体をチェックできるようにした。また、東京湾アクアラインで施工した際と同様に、セグメント装着時の浸水を防ぐテールシールを3枚から4枚に増やした。
 栗原和彦工務課長は「シールドマシン発進以降も、新たな注意事項が発信された場合は、随時内容を取り込み、施工に反映させる」と今後さらなる安全対策に万全を期す構えだ。

Related Posts:

  • 【げんば最前線】砂杭8277本! 石巻の北上川河口部堤防復旧工事 巨大津波の襲来により甚大な被害を受けた宮城県石巻市の北上川河口部。水田が広がっていた長面地区は一面海と化し、多くの尊い生命と財産が一瞬にして奪われた。河川管理施設の被害も大きく、堤防が流出・決壊したほか、護岸や樋門・樋管などが被災した。震災発生から間もなく2年半を迎える中、河川堤防の復旧が急ピッチで進められている。右岸側最河口部の工区を担当している熊谷組の現場を訪ねた。   被害が大きかった河口付近 ◇堤防被害は200カ所以… Read More
  • 【現場最前線】ゲリラ豪雨と闘う! 東京都の白子川地下調節池工事 近年、ゲリラ豪雨という言葉をよく耳にするようになった。1時間に100mmを超す局地的集中豪雨や、それに伴う都市型水害への対応は、急速な発展を遂げた成熟都市・東京の大きな行政課題になっている。地域の治水安全度を高める護岸整備など、河川改修もさることながら、要所で整備が進む地下調節池などの土木構造物は東京に欠かすことができない重要なインフラだ。いま、東京の地下では、大規模な洪水対策用のシールドトンネルが掘り進められている。   … Read More
  • 【現場最前線】国内最大能力の可搬式浄化プラント JR鎌倉車両センター工事 土壌浄化プラント 大成建設・奥村組・錢高組JVが神奈川県鎌倉市で進めている、東日本旅客鉄道(JR東日本)発注の鎌倉総合車両センター深沢事業所更地化工事で、可搬式(現地組み立て式)として国内最大の処理能力を持つ土壌浄化プラントが稼働している。処理能力は1時間当たり45m3を誇り、プラントの組み合わせを工夫することで粒径が小さなシルト土壌に対応しているのが大きな特徴。環境への配慮も徹底し、既存の車両点検棟の建屋を活用して屋内にプラントを設置する… Read More
  • 【現場最前線】京成線押上~八広の上り 一晩400人で一気に高架化 東京都が京成電鉄、墨田区と進めている京成押上線(押上駅~八広駅間)連続立体交差事業で、24日未明から同早朝にかけて上り線の高架橋への切替工事が行われた。切替え個所は押上方の約170mと八広方の約80m。約400人が限られた時間の中でチームワークよく作業に当たり、試運転を経て平常どおり同4時56分発(八広駅)の始発電車から運行を開始した。 午前4:10に試運転列車が通過 上り線の切替工事は、上り線最終電車後の午前0時50分からスタート。… Read More
  • 【現場最前線】最後の架設作業完了 首都高八重洲線北行き架替工事 多軸台車 首都高速道路会社は8日未明、東京都港区の汐先橋交差点付近で進めている八重洲線(北行き)架替工事で、長さ約25m、重さ約115tの高架橋を多軸台車で運搬し、吊上設備を使って一括架設した。警備を含め約200人が作業に当たった。 桁の架設直前 桁の架設が完了した 同交差点地下には東京都の都市計画道路環状2号線事業のトンネル区間があり、八重洲線橋脚の基礎構造がトンネル建設の支障となることから、首都高は都から工事を受託して橋… Read More

0 コメント :

コメントを投稿