2012/09/28

錢高組、DIC/シールド機を直接発着/FRP製矢板で出水の危険性回避


 錢高組と化学メーカーのDIC(東京都中央区)は、鋼矢板立坑内で、シールド機の直接発進・到達を可能にする新工法を共同開発した。鋼矢板立坑のシールド通過個所に、切削できるFRP(繊維強化プラスチック)製矢板を設置。従来は掘進時に支障となる部分の鋼矢板の切り開きや、周辺の地盤改良が必要だったが、直接掘り進めるようにすることで、出水の危険性を回避し、コストダウンや工期短縮も実現する。

切羽前方のFRP板を掘削して進む



 シールドや推進工事における立坑からの発進・到達工法では、土留め壁を鏡切りする方法が一般的となっている。柱列式連続壁やRC地中連続壁といった比較的深い立坑では、切削可能部材を使った工法が採用されているが、鋼矢板立坑では従来どおりの鏡切りを行う場合が多い。
 FRP製矢板による直接発進・到達工法は、シールド機が土留め壁をそのまま切削して進んでいく。切羽の開放を伴う鏡切りは不要となり、地下水位の高い地盤などでの出水を防げる。特殊な施工機械も一切必要ない。
 また、近年ではシールド機より下側の根入れ部など、地中に残置された仮設材に機械が接触し、工事に支障をきたすケースが増えているが、そこにFRP部材を用いれば、将来工事の妨げにならない。
 今後は、現場での実証実験で施工性を確認しつつ、新工法の特長を生かせる下水道工事の立坑案件などに、導入を提案していく方針だ。

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