2012/09/19

2次元図面を瞬時に3D化!! 福井コンピュータアーキテクトの最新版GLOOBE2013

GLOOBE2013のイメージ
「海外勢に追い付き追い越せの機能拡充に力点を置いてきたが、最新版はあえて自らの強みを全面に打ち出した」と話すのは、福井コンピュータアーキテクトの小島不二宣取締役営業推進部部長。7月にリリースしたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)建築設計システム『GLOOBE(グローブ)2013』は、その狙いどおりに「純国産CADらしさを存分に味わえる」テーストに仕上がった。
 中でも、2次元CADデータを瞬時に立体化できる新機能「2DBIMアシスト」は、レイヤ情報を参照し、スペース、通り芯、壁、柱、建具などのBIMモデルを自動配置する。これから3次元設計に取り組もうと考えている設計者にも、ありがたい機能だ。
 JW、DWG、DXFなどの2次元データをGLOOBE専用データに変換すれば、プレゼン用パースの作成や法規チェックが短時間で行える。営業推進部の飯島勇氏は「とくにユーザーからの評価が高い法規チェックのラインアップも充実させた」と付け加える。建築基準法規定の有効採光や換気、排煙計算にも対応し、有効開口面積の自動判定を行う。修正された建具データは建具表に自動反映される機能も追加した。
 意匠系BIMソフトでは初めてとなるコンクリートのフカシや増し打ち部分を把握する機能も搭載した。他のソフトでは、フカシ部分を分離していないために施工段階でのデータ活用がスムーズにいかない課題があった。そこまで細かい機能強化にこだわったのは、自社の施工作成システム『J-BIM施工図CAD』への連携を強く意識しているためだ。
 構造計算ソフトの標準データフォーマットとして普及が予想される「ST-Bridge」についても、業界に先駆けて対応させた。データの読み込みだけでなく、建築標準フォーマット「IFC」として出力できる。ST-Bridge対応に機能強化を行う予定の日積サーベイの建築積算ソフト『HEΛIOΣ(ヘリオス)』との連携も視野に入れている。
 BIMを導入した建築プロジェクトでは、異なる複数の意匠系CADを使うケースも多く、たとえIFCでやり取りしてもデータ連携に不具合が生じるケースがある。小島取締役は「日本ベンダーらしく、思いやりの気持ちを込め、IFCの読み込み機能も強化した」と強調する。
 さらに、中小の設計事務所にも使ってほしいと、価格面でも“思いやりの気持ち"を全面に出す予定だ。最新版の価格は52万5000円。保守など全オプションを含めると100万円を超える。
 そのため同社は10月1日から、月額1万6500円(1年間の契約が条件)で、保守を含めて常に最新のフルバージョンを使える「GLOOBE・スマートパック」の提供を始める。
建設通信新聞 2012年9月19日18面

Related Posts:

  • 【前田建設】施工BIMの生命線に! 初めて取り組む専門工事会社との「BIMモデル合意」プロジェクト  「BIMモデル合意の流れを整理できた」。前田建設の曽根巨充TPM推進グループ長は、東京・新橋で施工中の中小規模オフィスビルの成果を、こう表現する。既に現場の1割にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入する同社は、3次元モデルを見ながら専門工事会社と図面類の細かな部分を協議するBIMモデル合意を、施工BIMの“生命線”に位置付けている。「2020年度には最低でも5割の現場に拡大させたい」と意気込む。写真は所長クラスを… Read More
  • 【ベントレーカンファレンス2016】<2>早大・嘉納成男教授と大林組がリアリティモデリング部門でファイナリストに選出  英国ロンドンで開かれたベントレーシステムズの「ザ・イヤー・イン・インフラストラクチャー2016カンファレンス」に日本から参加した早大の嘉納成男教授と大林組は、リアリティモデリング部門でファイナリストに選ばれた。写真は質問に答える大林組の池田氏(左)とみるくるの田村氏  報告したプロジェクトは、プレキャストコンクリートを使用した29階建ての集合住宅で現場クレーンからレーザースキャニングとフォトグラメトリー(写真測量)で点群データと画像デ… Read More
  • 【ベントレー】日本の活用事例紹介セミナー 英国カンファレンス参加の嘉納教授が発表  ベントレーシステムズは、東京都港区の六本木グランドタワーで2016Bentleyセミナー東京アジェンダを開き、日本での活用事例を紹介した。特別講演には11月に英国で開いた「ザ・イヤー・イン・インフラストラクチャー2016カンファレンス」に参加した早大の嘉納成男教授が「点群データに基づく工事進捗の自動識別に関する研究」をテーマに発表し、日本の建設現場で活用したリアリティーモデリングの技術を説明した=写真。  同研究では現場のタワークレーン… Read More
  • 【ベントレーカンファレンス2016】<1>BIMモデル制作過程でのビッグデータの活用に注目  「これから10年でBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)はIoT(モノのインターネット)と結びつく。データ活用の方法が進歩し、より効果的で低コストな建設と維持管理ができるようになる」。BIMの導入を進める英国政府は2015年にまとめた計画で「ブリテン・デジタル・デザイン」を掲げ、BIMの効能をそう位置付ける。同計画では17年までにプロジェクトの関係者全員が3次元CADを使用する「BIMレベル2」を実現する方針で、25年に… Read More
  • 【モデリング】主要BIMデータを超高速レンダリング! VR、施工管理にも対応「FUZOR」  レッドスタックジャパン(川崎市、油谷勝社長)が提供するビジュアルシミュレーションツール「FUZOR(フゾー)」が、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ワークフローの改善ツールとして注目されている。独自の3次元ゲームエンジンが、BIMモデルを高画質で表現するとともにデータ変換・更新などの超高速処理も実現する。充実したワークシェアリング機能がBIMプラットフォームとして関係者間の協業に貢献し、特に大規模プロジェクトで評価を… Read More

0 コメント :

コメントを投稿