おしかホエールランドは廃止 石巻市が被災公共施設再建（廃止）方針案

廃止の方針が出された「おしかホエールランド」

宮城県石巻市は、被災公共施設再建(廃止)方針案をまとめた。対象は市有施設507棟のうち、津波被害などを受けた155棟。主な施設の再建策では、雄勝と北上の両総合支所は移築にあわせて公民館などと複合施設化を図る。石巻地区の文化センターおよび市民会館は、ホールと博物館機能を持つ複合施設として新築、牡鹿地区のおしかホエールランドは廃止し、新設する海の駅に機能を移転する方針だ。

　地区別の検討対象施設数は、石巻が55棟、牡鹿は42棟、雄勝35棟、河北と北上は各10棟、その他3棟。このうち、既存施設を解体するのは131棟で、解体せずに再建を図るのは20棟、震災遺構として保存を検討しているのは大川小学校など4棟としている。
　種別でみると、行政庁舎は5棟すべてを解体。雄勝と北上両総合支所のほか、荻浜と稲井の両支所もそれぞれ地区公民館と合築する計画だ。規模が小さな公民館分館などは集会所として再建する。公営住宅・教職員住宅等は23棟すべてを廃止し、災害公営住宅などに機能を引き継ぐ。
　医療関連施設のうち、市立病院と夜間救急センター、寄磯診療所は移築。雄勝病院は診療所として再建する方針だ。
　公園・体育関連施設は20カ所が被災。多くは応急仮設住宅が建てられているため、撤去後に復旧・再開を目指す。また、牡鹿体育館は公民館ホールと機能を統合する。
　学校施設では、渡波と湊の両小学校および湊中学校を現地再建、渡波中学校と大川小学校は移築するとした。雄勝地区の雄勝小と船越小は統合し、雄勝中学校との併設校として大浜地区に新築。北上地区は3小学校を統合した上で“にっこりさんパーク"周辺に新校舎を建設する方針だ。
　このほか、石巻地区の湊および渡波の両給食センターは統合移築。湊幼稚園と湊保育所は、湊こども園として幼保一元化を図る。
　教育・文化関連施設では、石巻地区にある文化センターと市民会館の複合施設化に加えて、旧ハリストス正教会教会堂は一度解体した上で、別の場所に復元させる計画だ。
　雄勝地区の雄勝硯伝統産業館は、雄勝石ギャラリーとインフォメーションセンターとの合築を検討する。
建設通信新聞　2012年9月20日6面