2013/04/13

【景観】川崎市から初の整備機構指定 神奈川士会が活動強化

プレーメン通り
神奈川県建築士会(花方威之会長)は、良好な景観形成に向けた活動を強化する。2月25日には川崎市から市初の景観整備機構に指定されており、5月29日に開く通常総会で新たな委員会の設置を決めるなど、体制強化も図る。特に川崎支部では重要建造物の調査に着手し、情報提供や相談、調査研究、普及啓発、人材育成など本格的な活動へと広げていく考えだ。
 神奈川士会はかねてから、歴史的建造物の調査・助言・支援、まちづくり活動への助成など景観まちづくり活動に取り組んでおり、神奈川県の景観条例施行(2006年12月)などを受け、10年度には士会内部に景観整備機構検討部会を設置していた。
 この中で川崎支部は、川崎市都市景観条例に基づき都市景観形成地区に指定された「ブレーメン通り」の景観形成方針・基準づくりに参画するなど、既に各方面で活動を繰り広げていた。11年2月に神奈川士会が川崎市で開催した活動交流会「景観シンポジウム」を契機に、川崎地域の景観形成に向けた機運が一段と高まり、今回、川崎市から景観整備機構の指定を受けた。県内では鎌倉市に次いで2番目、川崎市では初の指定となる。
 指定を受けて川崎支部副支部長を務める金子成司青年委員長は、ブレーメン通りの活動など「タイミング良く関わることができた」と振り返り、「地域に広がることで社会貢献的な役割も果たせる」と効果に期待する。青年委員会・川崎支部のメンバーとして金子委員長とともに携わった今井博康氏は「機構は具体的な事業があり、職能を生かしやすい。神奈川士会が取り組んできた従来の歴史的なアプローチに加え、現代的な仕組みができた」と活動のさらなる充実を視野に入れる。
 今後の展開に向け、景観整備機構検討部会の池田誠之部会長は、他市町村への働き掛けも念頭に、「メンバーの増強など士会の力が結集できるようにしたい。それが活性化にもつながると思う」と展望。金子委員長も「神奈川士会の独自性を生かすとともに士会のPRにつなげ、ブレーメン以外の地域でも役割を果たすなど、行政業務の一翼を担えるようにしていきたい」と見据える。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年4月10日

Related Posts:

  • 【建築】「建築と社会賞」7点、青年建築家・技術者26人表彰 日本建築協会 日本建築協会(香西喜八郎会長)は18日、オオサカマーチャンダイジング・マート(OMM)ビルで「読者と選ぶ『建築と社会』賞」と「青年建築家・青年技術者の顕彰」の表彰式を開いた。「建築と社会」賞には作品部門4点と論考部門3点、青年技術者の顕彰には5部門26人を選出し、香西会長から受賞者に表彰状と記念品が贈られた。写真は「建築と社会賞」受賞者。  読者と選ぶ「建築と社会」賞は、会誌『建築と社会』の趣旨にふさわしい、社会性・環境などに配慮した有意… Read More
  • 【シンポジウム】7月12日、JIAが五輪施設計画と街づくりを討論 参加無料! 日本建築家協会(JIA)は7月12日にシンポジウム「新国立競技場とオリンピック施設計画に何が必要か?」を東京都渋谷区の建築家会館で開く。パネリストとして建築家の元倉眞琴氏、作家の森まゆみ氏、北大准教授の坂井文氏、JIA関東甲信越支部長の上浪寛氏を招き、良質な建築、美しい街づくりのための制度設計をテーマに具体的な行動につながるディスカッションを行う。コメンテーターにJIA会長の芦原太郎氏、JIA名誉会員の長島孝一氏が参加する。  参加無料、定… Read More
  • 【安藤忠雄】「生きた建築ミュージアム」継承 大阪商工信金の新本店ビル 大阪商工信用金庫(大阪市中央区、小林良彦理事長)は、新本店ビルの建設に着手する。現在同ビルの設計を、安藤忠雄建築研究所に委託して進めている。既存建物の屋上部にある建築家・今井兼次がデザインしたレリーフを保存再生しながら、ガラス張りの現代的な建物に生まれ変わるという。解体工事は竹中工務店が担当、解体後引き続き竹中工務店・鴻池組JVで本体工事に着手する予定だ。2016年12月の供用開始を目指している。写真は解体に着手した本町ビル。  大阪市中央… Read More
  • 【東京建築賞】都知事賞に『東京駅丸の内駅舎保存・復原』 専門家の協働評価 東京建築士事務所協会(大内達史会長)は、「東京建築賞第40回建築作品コンクール」の受賞作品を発表した。今回は4部門に計70点の応募があり、東京都知事賞に『東京駅丸の内駅舎保存・復原』が選ばれたほか、各部門の最優秀賞として戸建住宅部門に『東村山の家』、共同住宅部門に『ISANA』、一般一類部門に『扇屋旅館』、一般二類部門に『山梨県立図書館』が決まった。表彰式は30日に京王プラザホテル(東京都新宿区)で開かれる総会後に実施する。  栗生明選考委… Read More
  • 【JIA出前講座】答えはひとつじゃないよ! 小中学生、まちづくり実習で学ぶ 日本建築家協会(JIA)近畿支部兵庫地域会(長尾健地域会長)は、小・中学生を対象にした出前講座事業を積極展開している。13日には神戸市兵庫区の市立明親小学校で、21日には同市東灘区の私立灘中学校で段ボール製9立方cmの立方体(T-CUBE)を用いたまちづくりの実習を行った。受け入れる学校側は、広い視野や集団で考えることの習得、職業理解を深める一助となることなどを求めており、子どもたちからも好評のようだ。写真は明親小学校での様子。  この事… Read More

0 コメント :

コメントを投稿