2013/04/03

【現場ルポ】2500t桁を4日で三次元移動 首都高速の横浜環状北線YK13工区

「日本最大の単径間ダブルデッキトラス橋」。横浜市都筑区の大熊川で、首都高速道路会社が建設を進めているYK13工区がそれだ。支間長は155.5m。単径間トラスとしても日本で3番目となる。日本最大の橋であると同時に、長さ120m、重さ2450tもの桁を、3月初旬に実質4日間で110mも移動させた驚きの現場でもある。
 この橋は、首都高速道路が建設を進めている横浜環状北線の一部。北線は、第三京浜道路・港北インターチェンジ(IC)から首都高速道路横浜羽田空港線・生麦ジャンクション(JCT)をつなぐが、橋は大熊川と鶴見川の合流地点にあり、第三京浜の港北JCTと新横浜出入口を結ぶ高架橋部分となる。
 工事は昨年2月に着工、今回の工事のハイライトは、川の西岸で組み上げた主桁を、東側で待ち受ける桁まで100m以上スライドさせて、1つの桁に組み上げ、その後東側の桁を降下させて地下に潜る道路の傾斜を付けるという離れ業を、2月26日から3月2日までのわずか5日間で完遂した。天候の関係で工程が延びたが、実質は4日間の作業となった。
 スライド工程は、ガイド役を果たすH鋼上に設置された橋桁に、テフロンや金属板をはさんで摩擦抵抗を減らし、H鋼クランプジャッキとスライディングシップ・ジャッキを併用して、1mずつスライドを繰り返す。2500tもの巨大な構造物がゆっくりと移動する様子は圧巻だ。1日に約30mを送り出した。

桁の移動開始

桁の移動完了
スライド作業は、単に桁を押し出すだけではない。地組みスペースに建物が干渉するため、送り出し軸線上には桁を構築できず、本設位置から2度ずらした位置で地組みした。送り出し作業は、斜めにずらせた軸線で行い、送り出し完了後に桁を2度回転させて本来の位置に納める。
 さらに平面位置に納めた桁は、吊り下げ式のジャッキによって、車路として必要な傾斜をとるために、東側だけ8.5m降下させた。現場では2500tの構造物が三次元で動き回ったことになる。
 工事を統括する首都高速道路神奈川建設局横浜工事事務所の小嶋俊之所長は、「北線の建設は全面的に始まっているが、所定の場所に桁がかかったのは初めて。見た目にも進捗が分かりやすく、うれしく思う。地元の方にも建設のイメージが伝わったのでは」と述べた。
 施工は、IHIインフラシステム・駒井ハルテックJVが担当。工期は2014年4月22日までの予定だ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年4月3日

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