2013/04/19

【モノニュース】屋内向けの視覚障害者誘導タイル ESCOTT

視覚障害者の歩行を支援する誘導ブロックは屋外では広く整備されているものの、高齢者や障害者のつまずき、車いすなどの移動の障害になるため、屋内空間ではほとんど普及していない。
 『屋内用誘導タイル ESCOTT(エスコット)』は、屋内でも視覚障害者が一人で自由に移動することができるユニバーサルデザインの実現を目的に開発された。

 広く普及しているJIS(日本工業規格)の誘導ブロックは突起部の高さが5mmあり、そのまま屋内に導入するとつまずきの原因になる。エスコットは、厚さ2.4mmのウレタン製で突起の高さもJISの5mmに対して1.8mmに抑えられている。
 さまざまな利用者が訪れる公共施設などの屋内に設置しても高齢者などがつまずきにくく、視覚障害者の単独移動を強力にサポートする。

◇両面テープで簡単に設置

 両面テープで簡単に設置することができ、既存建物でも大がかりな工事は不要。Pタイルやビニール床を始め、さまざまな床材にも対応する。仮にテープの粘着力が弱まっても簡単に貼り替えることができ、メンテナンス性にも優れる。再剥離可能なテープを使っているため、床材を痛めることもない。
 クワハタデザインオフィスの桑波田謙代表は、「いったん建物の中に入ると誘導ブロックはなくなり、視覚障害者は一人ではトイレにも行けなくなる。何とか屋内でも目的の場所に一人で行ける方法はないか」との思いからエスコットを商品化した。

◇大田区役所に初導入

 商品化とほぼ同時に東京の大田区役所に初めて導入され、その後、横浜ラポールなどの公共施設を中心に次々と採用されている。現在も「横浜市や神奈川県の公共施設から導入の打診を受けている」(桑波田代表)という。大田区役所や横浜ラポールでは導入後1年以上が経過するが、突起が削れるなどの問題は発生していない。
 開発のきっかけは、東京・御茶ノ水にある眼科病院のインテリアデザインを手掛けた約7年前にさかのぼる。設計段階で患者参加によるさまざまな検証を実施している最中に「小さな突起で視覚障害者の誘導を可能にする」タイルが頭に浮かんだ。
 突起の高さが2.4mm以上ではつまずくという研究結果もあり、さまざまなパターンを4年間かけて検証し、「ほぼバリアーにならない」最適な突起高さを割り出した。例えばベビーカーの振動はJISブロックに比べて9分の1にまで抑制される。
 標準色はアイボリーとイエローの2色だが、特注色としてさまざまな色にすることもでき、室内カラーとのコーディネートも可能だ。
クワハタデザインオフィス。横浜市中区海岸通4-22-406。電話045-306-5106。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年4月17日

Related Posts:

  • 【未来型トイレ】水不要!コスト安!メンテ楽! 災害対応にも注目集まる小便器「URIMAT」  奈良建設(横浜市港北区)100%子会社のセットアップ横浜(横浜市港北区)が正規代理店として販売や施工を手掛ける環境に優しい未来型トイレ「URIMAT(ウリマット)」の設置実績が着実に広がってきた。電気や化学薬品、水も必要としないことが評価され、富士山の山小屋にも使われている。同社ではランニングコストの節減やCO2の排出削減などとともに、災害時の有用性に着目し、積極的な提案活動を展開している。  ウリマットは、スイスのウリマット社が開発し… Read More
  • 【CATジャパン】i-Con対応、デュアルGNSSアンテナ! 3次元マシンコントロール搭載ブル発売  キャタピラージャパンは、国土交通省が推進するi-Construction(アイ・コンストラクション)に対応するブルドーザー用3次元マシンコントロール「Catグレードコントロール3D」を新たに開発し、搭載したブルドーザー「D6T」=写真=と「D8T」を発売した。  Catグレードコントロール3Dは、ブルドーザー本体との統合を進めることで整地・掘削作業の生産性をさらに向上させるとともに、オペレーター操作の軽減が可能な純正の内蔵型3次元マシン… Read More
  • 【ミドリ安全】口溶け一瞬、素早く塩分補給! 熱中症対策サプリ「塩熱サプリくちどけ」発売  ミドリ安全は、ラムネ菓子のように口の中で一瞬で溶ける熱中症対策サプリメント「塩熱サプリくちどけ」を発売した=写真。  レモンジンジャー、青リンゴジンジャー、グレープジンジャーの3種類の味を1袋の中に入れ、飽きることがないようにした。 熱中症対策として必要とされる塩分補給は、塩あめやスポーツドリンク、経口補水液が一般的。中でも塩あめは「手軽に塩分がとれる」「持ち運びに便利で使いやすい」という利点が多い半面、「なめ終わるまでに時間がかかる」… Read More
  • 【岩崎電気】まるでダイビング中! LED化進む水槽照明、海中の自然な光を演出  東日本大震災以降、省エネ意識の高まりから照明器具のLED(発光ダイオード)化が急速に進み、日本は世界にもまれな「LED大国」となった。メタルハライド(HID)ランプが中心だった水族館の照明も、急速にLED照明に置き換えられつつある。照明は迫力ある水槽を演出するための大切な要素だが、水族館の照明に特化したメーカーがあるわけではない。照明メーカーが経験と配光技術を駆使して発注者や設計者の理想のイメージを具現化している。写真はマリンピア日本海… Read More
  • 【東北地整】職員が開発した〝油圧ショベル用アタッチメント〟が創意工夫功労者賞を受賞!  東北地方整備局の職員2人が開発した「大型土のう遠隔操縦設置装置の考案」が2016年度文部科学省大臣表彰の創意工夫功労者賞を受賞し、18日に同局で伝達式が行われた。  受賞したのは北上川ダム統合管理事務所管理第一課の佐藤哲也機械係長と、東北技術事務所施工調査・技術活用課の伊藤秀樹氏の2人で、磁力で玉掛け・玉外し作業ができる大型土のう遠隔操縦設置を考案した。  バックホウのクレーン機能を利用し、両フック仕様・先端かみ合わせ形状の磁力を備え… Read More

0 コメント :

コメントを投稿