30セントメリー・アクス |
パークハウス |
主催者であるSGグループは、伝統や既製CADにとらわれない設計アプローチを探求し続けている。大会スポンサーである米国ベントレー・システムズ社の生成的設計ツール「ジェネレーティブコンポーネンツ(GC)」の開発も、その成果の1つ。近年では、デジタルファブリケーションなど、より物質的で現実世界を扱う分野を大会テーマに設定している。
2012年にロンドンのオックスフォードストリートに完成した複合施設「パークハウス」は、こうした分野の好例。設計を一部担当したロビン・パーティントン・アーキテクツが、GCを使い、全体が微妙な曲面で覆われた最適なファサードの最適案を選定、1枚ごとに異なる湾曲ガラスパネルなどのモデルを生成し、製作に生かした。
◇リアルを反映した設計
こうした設計アプローチの進化を目指し、SGグループは、ロンドン大会の開催テーマを「constructing for uncertainty」、曖昧(あいまい)な現実や予期できない未来に対処した設計、施工と設定した。
大会ディレクターの一人である建築家のザビア・デ・カステリア氏(フォスター・アンド・パートナーズ)は「コンピューター内で正確な設計でも、現場・現物では必ずしも完璧ではない。この問題に、温熱・気流解析など各種情報を使い、いかに対処するかがテーマだ。ほかにも、市場や経済などさまざまなレベルで対処すべきuncertainty(不確実性)がある。たとえば将来の用途変更もその1つ」とかみ砕く。
ロンドンを拠点に発信される設計アプローチの進化は、「バーチャルを反映した実物」から「リアルを反映した設計」に焦点を移しつつある。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年5月8日
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