2013/05/08

【BIM】GCで湾曲ガラスモデル生成! SGカンファレンスinロンドン-1-

30セントメリー・アクス
ロンドンが進化を続けている。金融街シティ・オブ・ロンドンでは、ランドマークとなった「30セントメリー・アクス」や建設中の「リーデンホール・ビルディング」などの現代的オフィスビルが、伝統的街並みの上空で、美と高さの競演を繰り広げている。特徴的な外観を持つビルが相次ぎ建設される背景には、建築主や社会の理解に加え、コンピュテーショナルデザインによる技術的な裏付けがある。いまや建築家は、コンピューターに形状を自動生成させ、無数の選択肢から最適案を検討できる時代を迎えた。こうした技術の発展に貢献しているのが、約10年前、ロンドンに拠点を置く建築家たちが中心となり設立したコミュニティー「スマートジオメトリー(SG)」だ。ほぼ毎年各国で大会を開き、ことし4月にロンドンで第10回大会を開いた。

パークハウス
◇1枚ごとに形状が異なるガラス

 主催者であるSGグループは、伝統や既製CADにとらわれない設計アプローチを探求し続けている。大会スポンサーである米国ベントレー・システムズ社の生成的設計ツール「ジェネレーティブコンポーネンツ(GC)」の開発も、その成果の1つ。近年では、デジタルファブリケーションなど、より物質的で現実世界を扱う分野を大会テーマに設定している。
 2012年にロンドンのオックスフォードストリートに完成した複合施設「パークハウス」は、こうした分野の好例。設計を一部担当したロビン・パーティントン・アーキテクツが、GCを使い、全体が微妙な曲面で覆われた最適なファサードの最適案を選定、1枚ごとに異なる湾曲ガラスパネルなどのモデルを生成し、製作に生かした。

◇リアルを反映した設計

 こうした設計アプローチの進化を目指し、SGグループは、ロンドン大会の開催テーマを「constructing for uncertainty」、曖昧(あいまい)な現実や予期できない未来に対処した設計、施工と設定した。
 大会ディレクターの一人である建築家のザビア・デ・カステリア氏(フォスター・アンド・パートナーズ)は「コンピューター内で正確な設計でも、現場・現物では必ずしも完璧ではない。この問題に、温熱・気流解析など各種情報を使い、いかに対処するかがテーマだ。ほかにも、市場や経済などさまざまなレベルで対処すべきuncertainty(不確実性)がある。たとえば将来の用途変更もその1つ」とかみ砕く。
 ロンドンを拠点に発信される設計アプローチの進化は、「バーチャルを反映した実物」から「リアルを反映した設計」に焦点を移しつつある。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年5月8日

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