三井海洋開発は、浮体式潮流・風力ハイブリッド発電の実証事業に着手する。国の認可が下りれば今夏にも佐賀県沖に設置する。設置数は1基で、2014年秋から1年かけて独立電源としての利用などを検証する。15年内には陸上への送電を開始し、実用化に向けた検証を進めたい考えだ。潮流発電と風力発電を同時に行う「ハイブリッド発電」は世界で初という。
発電機を設置した直径29mの浮体の上に高さ36m、直径24m、発電規模500kWの風車を設置し、浮体の下には高さ10.5m、直径15mの水車を設置する。風車軸・発電機・水車を直線上に配置することで、海上でもバランスが取れるようにしている。
風車を長方形にすることで、陸上風力発電と同等の発電効率で約2倍の電力を発電できる。また、従来の洋上発電は風車起動時に陸から電力を供給していたが、同システムでは必要電力を潮流発電で作り出せるため、孤島の独立電源や災害時の非常用電源としての活用が期待される。
設置場所は、佐賀県の加部島から北西に約1㎞の海域で、水深は約50m。周辺漁業者からの提案で選定した。検証が進み事業性を確立できれば設置数を増やし、漁業組合などに向けたリース方式などでの事業化を検討する。
風車は海面から47m程度で低回転となるため、既存の陸上風車より上空への影響が少なくなる。水車も潮流と同じスピードで回転するため海の生態系への影響は少なく、将来的には魚礁のような役割を果たすことも想定している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年5月20日
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