2013/05/02

【鉄道工事】新幹線の乗り心地支える新型レール削正車 東鉄工業

新幹線のスムーズな高速走行を支えるために行われるレール削正作業。東日本地域で唯一、新幹線用のレール削正車を保有する東鉄工業は、東日本旅客鉄道(JR東日本)管内の削正作業を一手に担っている。昨年末には、埼玉新幹線機械軌道出張所に新型のレール削正車を配置。同出張所は新型を含め、保有する3台の削正車で、上下線合計約2100㎞に及ぶレールの状態を保っている。
 同出張所の担当エリアは東北新幹線東京~那須塩原、上越新幹線大宮~新潟、長野新幹線高崎~長野の各区間で総延長は約1050㎞。
 終電後の夜間に動き出すレール削正車は、モーターの下に取り付けた砥石(といし)を回転させながら時速5㎞で進み、磨耗した部分を元の形状に戻していく。砥石の装備数を表す「48頭式」と「16頭式」の車両は本線部、小回りのきく「6頭式」は分岐器とその周辺に用いる。

◇スペノインターナショナル社製

 新調したのは最も大きい48頭式で、スイスに本社を置くスペノインターナショナル社製だ。全長は約95m、全幅は約3m、全高は約4m、重量は約315tとなっている。
 従来、連動していた左右2つの削正モーターを個別に制御できるようになったほか、削正で生じる粉じんの吸入能力がアップした。砥石の脱着方法は、人力のボルト固定から、空気圧を利用した自動センタリング方式に改め、交換作業の迅速化と正確性向上を図った。さらに、レーザーとCCDカメラによる非接触式車載型検測装置を搭載することで、走行中にリアルタイムで断面表示とプリンター記録が可能になった。
 同出張所の豊福康一副所長は、新型削正車を製造していたイタリアの工場まで出向き、中間・出荷前検査を担った一人。日本に納入されると不具合の修正は容易でないため、「非常に神経を使いながら、オーダーどおりになっているか詳細に確認してきた」。その車両も現在、フル稼働で担当エリアを走り回っている。
 「削正車は大きな機械であり、作業を終えて毎晩基地に無事帰ってくるのが至上命令。日々のメンテナンスに気を付け、トラブルがないよう心掛けている」と豊福副所長。
 レール削正は▽乗り心地向上▽騒音低減▽レール延命▽保守費縮減--につながる“一石四鳥"の作業。近年は新幹線だけでなく、在来線でも導入が広がっている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年5月2日

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