2013/05/29

【BIM】動く建築! SGカンファレンスinロンドン

スクリーンに映し出された建築に、会場はみな釘付けとなった。そびえ立つツインタワーに、びっしりと咲いた花。アラブ首長国連邦アブダビにそびえる「アル・バハール・タワーズ」だ。個々の花は開くと三角形、閉じると三芒星、折り紙状の幾何学形状。プログラム制御により太陽の動きに合わせ電力で開閉する。「建築のオーバーヒートやグレアを防ぐマシュラビヤ(イスラム圏のサンシェード)だ」と、建築家のアブドゥルマジド・カラノア氏(アエダス・リサーチ)は説明する。建築家は、現実世界のどのデータを元に将来にわたる日射遮蔽を最適化するべきか。建築の方を動かす選択肢があるなら、答えも変わってくるだろう。

◇IT事例も紹介

 スマートジオメトリー(SG)ロンドン大会で、ワークショップに引き続き2日間、ロンドン大学教育研究院で開かれた会議では、こうした建築や情報通信技術の最新事例が相次ぎ紹介された。
 初日のトークショップでは、4つのテーマごとに、建築家や研究者が壇上で円卓を囲み懇談。建築家が慣れ親しんだ要素以外にどんなデータを求め、パラメトリックデザインやスマートな施工に生かせばいいのか知恵を出し合った。
 異彩を放ったのは、「Constructing for an evolving ecology」のセッションに参加した事務所xcoop(オランダ)の2人だ。クリスティーナ・マーフィーは、「どんな開発もそのコミュニティの住民が進められなければならない」と指摘。アンドレア・ベルタシは、ハイチ復興で現地のデブリを材料に現地の人に作らせた安価なレンガの事例を紹介した。


◇居住者にあわせたエネルギー設計

 会議2日目、大会最終日のシンポジウムの講演では、アラップのトリストラム・カーフレイ取締役、エール大学のミシェル・アディントン教授に引き続き、異分野から、データ可視化デザイナーのベン・セルベニー氏、アーティストで研究者のサラ・ジェーン・ペル氏が登壇。「Constructing for Uncertainty」との難題に取り組むには分野を超えて取り組まなければ--。会場の空気が語っていた。
 アディントン教授は、「多くのエネルギーシステムは居住者ではなく建物に合わせて設計されている」と指摘。居住者の視点から逆算したパラメトリックデザインに関する研究生の事例を紹介した。
 大会スポンサーである米ベントレー・システムズのヒュー・ロバーツ副社長とサンタヌ・ダス上級副社長も講演。広範囲な「Uncertainty」への取り組みや、災害を踏まえたソリューションを展開する姿勢を示した。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年5月29日

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