住宅設備建材や電設資材の総合メーカーとして350万品番もの豊富な商材を抱えるパナソニックのエコソリューションズ社が、ビジネスユーザー向けに全商品の詳細情報を無償提供するサービスに乗り出した。営業IT支援グループの石井功グループマネージャーは「仕事の効率化と商談の支援が狙い」と明かす。ビジネスシーンのあらゆる場面を想定し、いつでもどこでもほしい情報を得られるように、商品情報を多角的に見える化した。
◇4月からネット上で開始
4月から始めたサービス「VA(バリューコンシャスアロー)ソリューションカタログ」は、インターネット環境さえ整っていれば、タブレット端末などを通して全商品の情報を把握できる。同社は1年もの歳月をかけ、現場の声をもとに提供するコンテンツの中身を詰めてきた。
そもそも商品選びは、販売代理店が起点となり、設計事務所や建設会社などのビジネスユーザーを経由し、一般消費者が決断する。企業間を経て消費者に向かうBtoBtoCの取引形態をとるだけに、350万品番もの豊富な商品を抱える同社にとっては「ビジネスユーザーに商品を把握してもらうことが難しい」ジレンマがあった。
VAソリューションカタログでは、営業現場のあらゆる場面に対応できるように、提供するサービスに3つのシーンを想定した。商品検索のシーンでは営業カタログにある仕様の詳細や寸法確認に加え、図面や設計書などまで閲覧できるようにした。登録代理店には在庫情報や納期の確認まで情報の公開範囲を広げた。これまでは営業担当が事務所に持ち帰り、先方には翌日になって在庫状況を伝えるケースもあり、商談の迅速化につなげる狙いからだ。
カタログのトップ画面 |
◇光熱費の試算も可能
設計や見積もりのシーンには、簡単に光熱費の試算を行えるほか、現場の状況に合わせて関連商品を追加見積もりできるシミュレーション機能を備えた。全国のショールームでは計500台ものタブレット情報端末を使い、商品の色決めを行う接客スタイルが大きな反響を得ている。これをヒントに営業担当者が消費者と向き合いながら、その場で内装などの色柄を確認できる機能も盛り込んだ。
ソリューション提案のシーンでは、1000件に及ぶ節電やリフォームの施工事例が見えるようにした。電材分野では大型導入した代表的な建築物を50事例ほど抜粋。補助金制度や建築基準の最新動向に加え、消費者や施主のためのメニュー充実も図った。「こうした法制度面の情報充実は、ビジネスユーザーの成約率を上げる切り口として重要視した」(榎股秀二WEBサイト・デジタルコンテンツチーム参事)。
図面も確認できる |
◇40万人の登録目指す
同社は、2015年度までにビジネスユーザー約40万人の登録を目指す。全社員にはeラーニングによる研修で使い方を学ばせた。ビジネスユーザーに対し、サービスの活用を促す意味でも社員自身が活用方策を熟知する必要があるとの判断からだ。
商談支援のコンテンツとして、特に力を入れようとしているのが動画の活用だ。「説明手段として動画の効果は絶大。商品の解説だけにとどまらず、施工方法やメンテナンスのやり方まで詳細に伝えられる」(長岡弘敏WEBサイト・デジタルコンテンツチームリーダー)。現在の動画数はまだ150点にとどまっているが、これからは新商品をアップするごとに追加する。
1つの商品情報は、関連する別の商品と連鎖的につながり、ビジネスユーザーは消費者にパッケージとしていくつかの商品を提案できる。そこが紙のカタログとの大きな違いだ。石井グループマネージャーは「商談支援を目的にしているが、それによる具体的な売り上げ目標は掲げていない。ビジネスユーザーとの結びつきを強めることが第一で、それが結果的に業績に跳ね返るはず」と力を込める。
VAソリューションカタログの登録はhttp://www2.panasonic.biz/es/vasc/
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年5月8日
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