2013/05/16

【戸建て向け】液状化した地盤を改良 ダブルロック工法

東日本大震災で関東地方では茨城、千葉の2県を中心に液状化による戸建て住宅の不同沈下の被害が相次いだ。震災以降、地盤改良グランドロック(菊地清治社長)は、西川総合建設(滋賀県長浜市)グループが開発した「ダブルロック工法」を使い、茨城県の神栖市、潮来市日の出地区、稲敷市、鉾田市、北茨城市、高萩市などで戸建て住宅の地盤沈下を修正してきた。施工件数は約100件に達し、「茨城県内では最も施工していると思う」(菊地社長)という。
 地盤改良グランドロックは、「震災前は関東での地盤改良の仕事はそれほどなかったが、液状化の発生によってこれからは地域に根ざし、アフターケアも考えて地盤改良する事業が必要」(菊地社長)と、神栖市にある不動産・建設関連の5社が出資して2011年6月に設立した。西川総合建設から完全に独立しているが同社グループの一員として茨城県内を中心に事業展開している。
 戸建て住宅の沈下修正の相談を受けた際、基本的にはダブルロック工法を勧めている。その理由として「他の工法に比べれば若干割高だが、最も再沈下しにくい。工期が短く耐久性があり、保証会社の10年保証を受けることもできる」(同)ことを挙げる。

◇人が通れれば施工可能

 同工法は、ベタ基礎の場合、建物下に薬液を注入して地盤を一次改良した後、改良地盤と建物の間に薬液を注入して柱を構築しながらプラスマイナス5mmの精度で沈下修正する。修正で空隙(くうげき)が生じた場合は流動グラウトを充てんし、工事は完了する。布基礎の場合は、薬液を注入して地盤改良を行い、調整器を入れて水平に戻した後、流動グラウトを充てんする。
 外から注入する工法であり、「人が通れる幅があれば施工できる」のが強みだ。ベタ基礎なら工事は1週間以内で終わる。重量物の沈下修正や建物内からの施工も可能という。
 薬液は、セメントが乾くと石灰になるものを使用しており、無公害で近接物への影響を避けるため5秒で固化することができる。他の工法で再沈下を起こした物件でも施工できるのも強みの一つだ。

◇震度6でも大丈夫

 茨城県内で施工した物件は、「震度6の余震でも何ともなかった」と胸を張る。
 震災後は「この辺りもいろいろな業者が来て他の工法で沈下を修正していった」。しかし、「その後、再沈下を起こしたため施主が施工業者に問い合わせても、遠くて行けないと言われたり、膨大な費用を請求してきた」といった話を何度も耳にした。「うちは行けるところでしか仕事をしない」と、今後も地元に根ざした活動を重視する。
地盤改良グランドロック 茨城県神栖市下幡木4108。電話0299-77-8589。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年5月15日

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