広島県尾道市は、千光寺公園頂上リニューアル基本・実施設計業務の公募型プロポーザル方式による審査結果を公表した。最優秀者に石上純也建築設計事務所を特定した。「尾道の風景から連続したランドスケープとしての展望台」をコンセプトに4つのテーマを提案している。今後、正式契約する。委託料の上限は3212万2000円(税込み)。履行期間は2017年8月31日まで。優秀者(次点)には小泉アトリエ・ランズ設計共同体が選ばれた。
最優秀案で提示した4つのテーマは、(1)尾道市の景観に調和したシンボル空間の形成(2)利便性や快適性の向上(3)移動回遊のバリアフリー化への対応(4)工事期間中の安全計画と利用形態およびコスト削減の配慮--となっている。
テーマ(1)は、千光寺山の山頂にかかる雲のようにやわらかく尾道の風景の一部として調和した建築を目指すとし、坂の街として知られる同市の風景を豊かにしている坂道や階段などの移動体験を展望台へ取り込み、街の風景の連続としてすべての場所が展望台となるようなランドスケープ的な展望台を提案している。
テーマ(2)では、既存の展望台の問題を改善し、利便性が高く快適な空間を実現することを考慮している。広く平らなフラットテラスや車いすにも対応したスロープの丘、展望スペース、さまざまなイベントが開催できる劇場広場、屋根下のレストラン、景色を楽しみながらくつろげる棚田テラスなどで構成する。
テーマ(3)では、回遊性の高い豊かな動線計画とし、歩いているうちに景色が変わりながら展望台へと導かれるような自然で分かりやすい動線計画としている。
テーマ(4)では、工事中も既存の展望台が利用できる計画を提案した。第1期工事で新築工事を実施し、第2期工事で既存解体+外構を行う。コスト縮減への配慮については、▽地震力を接地部分に負担させ、柱を細くし鉄骨量を軽減▽柱間のスパンを縮め屋根スラブを薄くし、コンクリート量を軽減▽柱を上部ピンで設計し、構造の単純化を図り施工コストを軽減▽丸鋼径60mmから丸パイプ径100mmに変更することで鉄骨量の軽減を可能▽屋根を鉄骨造に変更することで軽量化し全体的に鉄骨量が軽減可能▽工事計画を単純化し、仮設などの本体工事以外のコストも極力削減--を提案している。
業務内容は同公園頂上エリアの公園整備、展望台建て替えに伴う基本設計と実施設計。概要は同市東土堂町19-1ほかの敷地約2000㎡、展望台新築延べ450㎡程度、公園配置計画・整備は既存以上の機能向上を条件とする。
総工費は3億円程度(同)。工期は展望台が18年3月から19年3月、既存展望台解体・公園整備が19年4月から11月までを想定している。
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