日本建築美術工芸協会(aaca、岡本賢会長)は14日、東京都港区の建築会館ホールで設立記念会と第26回AACA賞・芦原義信賞の表彰式を開いた。今回は44点の応募があり、AACA賞には中藤泰昭氏、面高宏樹氏(ともに大成建設)の『G・Itoya(銀座・伊東屋)』(東京都中央区)=写真(撮影:新建築社写真部)、芦原義信賞(新人賞)は平瀬有人氏(佐賀大学大学院准教授・yHa architects)と平瀬祐子氏(yHa architects)の『富久千代酒造 酒造改修ギャラリー』(佐賀県鹿島市)が選ばれた。AACA賞優秀賞3点、同奨励賞3点、同特別賞2点と合わせて岡本会長から賞牌と賞状が贈られた。
冒頭あいさつした岡本会長は「AACA賞も26回になるが、年々レベルの高い作品がそろい、選考委員会の大変な激論の末に各賞が決まった。単に建築だけではなく、空間総合芸術として、建築と美術と工芸が一体となった新しい空間をつくり出しているかという視点から選ばれている」と述べ、受賞者をたたえた。
表彰式 |
選考委員長を務めた建築家の古谷誠章氏も「力作がそろい有意義な選考ができた。世に建築賞は数々あるが、AACA賞はひとり建築が優れているだけでは受賞できない。美術、工芸との総合的な芸術として統合されている様、芸術としてのスピリットが建築に反映されて初めて評価される」とした上で、伊東屋について「銀座の中央通りにあってほかがコマーシャル的に妍(けん)を競う中で、凛とした建築それ自体が洗練された現代彫刻のような佇まい、内部空間が外に表れる様は清々しく感銘を受けた」と高く評価した。
富久千代酒造 酒造改造ギャラリー (c)Y.Harigane(Techni Staff) |
また、酒造改修ギャラリーは「年月を経た古い建物と付加された新しい建物の拮抗する重さ、質感が混然一体となった芸術的な美しさがある」とし、「改修の手法も見応えがあり新人とは思えぬ力量」と評した。
受賞者を代表してあいさつした中藤氏は「建物は鉛直にそそり立つ2枚の壁という単純な造りだが、さまざまな人たちの協力のもとで空間に立ち上がった線が評価されうれしく思う」と謝意を示した。
AACA賞、芦原義信賞以外の受賞作品と作者は次のとおり(敬称略)。
〈AACA賞優秀賞〉
▽「MIZKAN MUSEUM」(愛知県半田市)=小川大志、高橋勉(ともにNTTファシリティーズ)
▽「ヤマノイエ」(所在地非公開)=津野恵美子(津野建築設計室)、田賀陽介(田賀意匠事務所)、内藤真理子(コモレビデザイン)、安東陽子(安東陽子デザイン)
▽「織物の茶室~下鴨神社・糺の森」(京都市左京区)=橋口新一郎(橋口建築研究所)
〈AACA賞奨励賞〉
▽「実相寺毘沙門堂」(静岡市清水区)=山田誠一(山田誠一建築設計事務所)
▽「トイレの家」(香川県観音寺市)=石井大五+フューチャースケープ建築設計事務所
▽「TSURUMI こどもホスピス」(大阪市鶴見区)=片瀬順一、出口亮(ともに大成建設)
〈AACA賞特別賞〉
▽「北菓楼札幌本館」(札幌市中央区)=竹中工務店、安藤忠雄建築研究所▽「東京ガーデンテラス紀尾井町パブリックアート計画」(東京都千代田区)=西武プロパティーズ(事業主・アート企画)、日建設計(設計・監理)、Kohn Pedersen Fox Associates(外装デザイン)、PLACEMEDEA(ランドスケープデザイン)、織絵(アートディレクション)、森美術館(アートコンサルティング)
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