2014/02/21

【記者座談会】ゼネコン決算 受注好調 内需型企業に追い風

東京・晴海の五輪選手村建設予定地
A 大手・準大手ゼネコン22社の2014年3月期第3四半期決算が出そろった=3面参照。
B 単体の受注高は、堅調に推移する公共投資に加え、民間設備投資の回復や消費増税による駆け込み需要など主戦場である民間建築が好調だったため、軒並み増加した。期初の通期予想をベースとした達成率は大手4社が88.2%、合併のため前年同期と比較できない安藤ハザマを除いた準大手17社が93.8%と順調に推移している。
C 土木、建築ともに大半の会社が前年同期を上回った。土木の伸びは、13年度大型補正予算の本格実施など官公庁工事の増加が追い風になっており、建築の増加は消費増税前の駆け込みによる医療・教育関連など非製造業が寄与している。
D 受注環境の改善や保有不動産の売却、為替差益の増加などを理由に業績予想の修正も相次いでおり、第3四半期決算の直近では長谷工コーポレーション、五洋建設、安藤ハザマ、熊谷組、淺沼組の5社が上方修正した。錢高組は手持ち工事の進捗が当初見通しを下回ったため、売上高は減少するものの、為替差益の増加などで経常利益、純利益は予想を上回る見通しだ。
B 受注が軒並み好調な一方、完成工事総利益(工事粗利)率は大手、準大手で明暗を分けた。大手4社は建築工事の採算悪化が影響し、いずれも前年同期を下回った。準大手は不採算工事が一巡し、改善傾向を示している。ただ、工事粗利率自体は低く、今後も需要の増大が見込まれる中、さらなる労務・資材価格の上昇が工事粗利率にどの程度影響するのか予断を許さない。
A ゼネコン以外の業績は?
E 道路舗装上場8社のうち6社が前年同期比で営業利益を拡大し、日本道路、大林道路、東亜道路工業は5割以上の伸びを示している。増益の理由として、採算性の高い繰り越し工事が多かったという会社が複数あった。利益を重視した受注活動の成果が出始めているというのが各社の共通認識だ。
C 単体ベースの建設受注高は伸び率が3割強となった大林道路を始め、5社が増加した。同社は、メガソーラー関連工事など民間工事も好調で、官民工事とも大幅に増加している。
B 震災復興関連や大型補正による全国的な工事量の増加で、ここ数年の受注環境は良好とみるトップも多いが、労働者、管理者不足や資機材、原料費の高騰など不確定要素も多く、通期の見通しには各社とも慎重な構えを見せている。
A 設備会社の決算はどうだったろう。
F 設備工事はゼネコン(建築)から半年-1年遅れると言われるが、ようやく電気設備、空調設備とも受注は上向いたようだ。空調設備をみても、都市部の大型再開発を始めとする新築案件に加え、リニューアル需要も回復してきた。大手空調会社の中には、初めて第3四半期で黒字に転換した会社もある。
D 電気設備は電力はともかく、一般設備も好調だし、依然として再生可能エネルギー、特に太陽光発電が受注、収益をけん引しているようだ。
G 需要動向に業績が敏感に反応するメーカー各社は好決算が相次ぐ。消費増税の住宅駆け込み需要を足がかりに、住宅建材分野は軒並み増収増益、ビル建材分野では来期の売り上げまで計算できる好調ぶりだ。中期経営計画を前倒しで達成する社はひきもきらない。
C 公共工事の増加を背景に、メーカー系ではセメントの業績が上向き、建設コンサルタントの業績拡大も目立っている。復興工事の本格化に加え、東京五輪開催を受けてインフラの更新需要が動く可能性もあり、低迷していた内需型企業ではここ数年忙しい状況が続きそうだ。
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