2014/02/03

【高力ボルト問題】4種類を大臣認定/申請1日でスピード決着/市場への影響考慮

 神鋼ボルトが製造する高力ボルト(通称・ハイテンションボルト)が国土交通大臣認定に適合しないことが判明、ゼネコン各社が対応に迫られていた問題が、異例のスピード決着を迎えた。
 国土交通省は1月31日、問題があったボルトのうち、近年、受注・生産のあった4種類の高力ボルトについて、現在の製造条件をもとに審査し、大臣認定したことを発表した。これにより現在、施工現場で使用されている神鋼ボルトの高力ボルトの使用は認められる。

 神戸製鋼所100%子会社の神鋼ボルトは、製造する9種類の高力ボルトが建築基準法に基づく国交大臣認定を受けていたにもかかわらず、認定条件と異なる方法で製造していたことを22日に公表。
 建築物の柱・梁に使用するボルトは、JIS規格に適合しているか、国交大臣認定を受けたものを使用するよう建築基準法で定められており、施工中の物件で使用しているボルトが大臣認定不適合であれば、竣工検査をクリアできず、3月竣工・引き渡しの物件の現場がストップする事例が出るなど、建設業界で大きな問題となっていた。
 神鋼ボルトは、大臣認定不適合の製造方法ではあったものの建築基準法が規定する品質の技術的基準に適合しているとして、不適合が判明した9種類のうち、近年、受注・生産の実績がある4種類のボルトを優先し、指定性能評価機関である日本建築センター(BCJ)に評価を依頼。その評価を受けて1月30日に4種類のボルト認定を国交省に申請した。
 国交省は、BCJによる評価の時点から、BCJの委員会に職員を派遣。認定申請から1日という異例の早さで認定した。国交省は「竣工直前の物件が多くあると聞いていたため」と、市場への影響度の大きさを考慮してスピード認定につなげたことを認めている。
 また、今回認定を受けた4種類以外の近年受注・生産実績のない5種類のボルトについては、引き続き対応するよう神鋼ボルトに求めるとともに、建築基準法の技術的基準に適合しない製品があった場合は、改修などの必要な措置を講じるよう指示した。

Related Posts:

  • 【企業】社員の命をどう守るのか 高まる海外事業のリスク  建設業界に限らず、中長期的な国内市場の縮小を見据え、海外事業の拡大を目指す企業が多い。中期経営計画や長期ビジョンなどで、海外事業を将来的な成長分野と位置付け、新規に海外拠点を設立する動きもある。しかし今後、海外でのテロリスクにどう向き合うべきか。経済だけでなく、安全面でも世界の不確実性が高まってしまった今、その問いに対して即答するのは難しい。写真は旺盛な開発需要のある東南アジアの風景 ◆安全保障強化求める声も 日本PFI・PPP協会の植… Read More
  • 【笹子トンネル】地方管理分でも同じ構造が12カ所 国交省調べ 笹子トンネルの天井構造(作者:Marine-Blue) 国土交通省は5日、中央自動車道上り線笹子トンネルの天井板落下事故を受け、都道府県など地方管理分の同構造のトンネルの調査結果を公表した。都道府県管理が5カ所、政令市が1カ所、地方道路公社が6カ所の合計12カ所となった。今後、各道路管理者が、国が高速道路会社などに指示したものと同様の緊急点検を実施する。既に点検を実施済みのトンネルもあり、今後、点検するトンネルは8件となる。 今後緊急点検を… Read More
  • 【笹子トンネル】国の調査委が「コンクリ問題なし」と断定 笹子トンネル概要(国交省資料より) 国土交通省は1日、中央自動車道笹子トンネル上り線の天井板崩落事故の原因究明・再発防止を検討している「トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会」(委員長・今田徹東京都立大名誉教授工学博士)の第3回会合を開き、笹子トンネル天井板など点検結果を示した。今田委員長は、試験結果を踏まえ「コンクリートについては問題がないという判断が、いまの時点で得られた。ほかに原因が考えられるのは、アンカーや構造の問題になる… Read More
  • 【高力ボルト問題】4種類を大臣認定/申請1日でスピード決着/市場への影響考慮 神鋼ボルトが製造する高力ボルト(通称・ハイテンションボルト)が国土交通大臣認定に適合しないことが判明、ゼネコン各社が対応に迫られていた問題が、異例のスピード決着を迎えた。  国土交通省は1月31日、問題があったボルトのうち、近年、受注・生産のあった4種類の高力ボルトについて、現在の製造条件をもとに審査し、大臣認定したことを発表した。これにより現在、施工現場で使用されている神鋼ボルトの高力ボルトの使用は認められる。  神戸製鋼所100%子会社の… Read More
  • 【アルジェリア】人質事件受け、現地の鹿島JVが夜間の外出を禁止 アルジェリアで起きた人質事件を踏まえ、現地で高速道路の施工を進めている鹿島・大成建設・西松建設・ハザマ・伊藤忠商事JVも安全対策を強化している。施工区域は、事件があった南部に比べて危険性は低いとされているものの、事件発生後は不要不急の外出や夜間の外出を禁止した。現地に滞在している日本人は現在、鹿島単体で47人、JVで約90人、協力会社やコンサルタントなどを含めると200人弱に及ぶ。 鹿島は、「外務省による危険情報をベースとした安全対策を導入し… Read More

0 コメント :

コメントを投稿