2014/02/14

【記者座談会】新知事誕生、ぶれない都政に期待 大雪対策は?

積雪27センチとなった2月8日の首都圏
A 9日に投開票された東京都知事選で舛添要一新知事が誕生した。都庁内の雰囲気はどう。
B 順当な結果だっただけに冷静な受け止めが多い。何より「知事不在」の状況が解消し、政策のベクトルが定まったから、職員としても「やるぞ」という気持ちになっているのだろう。
C 昨年12月に猪瀬前知事が辞職に追い込まれて、2014年度の予算編成や20年五輪の組織委員会の立ち上げなど、都政にとっても特に重要な時期に「知事不在」の状況が続いていた。止まっていたとは言わないが、これでようやく停滞していた都政が動き出す形になるのでは。
D 選挙公約をみても、「史上最高のオリンピック・パラリンピックの開催」「大災害にも打ち勝つ都市」など、東京を世界一の都市にするということが大きな目玉。従来から都が力を入れてきた防災対策は徹底して推進するスタンスだから、建設需要そのものも継続して高い水準を維持していくことが予想される。都職員の中にも「考え方が一貫している」「政策にみる姿勢は都が進めてきたことと大きなズレがない。われわれの方向性にもぶれはない」と評価する声も多い。
A 12日に就任会見が開かれたけど、舛添カラーが今後どう都政に反映されていくのか注目される。徐々にということになるだろうが、都政のこれからにどう影響するのだろうか。
D 都が1月に発表した14年度予算(暫定案)に対する知事査定がこれから始まる。とはいえ、木密地域の整備改善、集中豪雨への対策、老朽化インフラへの対応など、やるべきことに大きな変更はないはずだ。15年ぶりに投資的経費9000億円台を計上している暫定案に上乗せすることはあっても、減らすということは考えにくい。
B 「すごく頭が切れる人」という印象もあるから、いま進めている施策を効率よく加速させる、あるいはグレードアップさせる知恵も持っているかもしれない。建設産業界にとっても、そのリーダーシップに期待するところは大きい。
A その投票日前日の8日は、東京都心でも積雪27cmという記録的な大雪で首都圏のインフラがまひした。首都圏の積雪への対応がいかに脆弱化を改めて露呈した。
B それはしょうがない。積雪寒冷地のように除雪機械があるわけではないし、インフラ管理者にも対応ノウハウがない。
D それにしても道路や鉄道、空港利用者への影響もこれほど深刻だとはね。降雪対応があまりにも脆弱すぎると思うけど。
C 実は東京都内でも除雪機械を保有して降雪対応しているケースがある。都の出先機関の1つが青梅や奥多摩地域を所管していて、オペレーターも都の職員だ。
A 奥多摩なら標高も高い山岳地帯だから確かに除雪機械を持っていてもおかしくはない。
C なぜ奥多摩の話をしたかというと、人口減少・過疎化の中で防災対応の担い手である地元建設業と地域行政との関係が希薄になりかねないという全国的な課題の写し鏡になっている地域でもあるからだ。
B 応札者の数が多ければいいというような競争性のみを重視した入札契約のあり方が、土地柄もよく分かっていない他地域からの企業参入を招き、その地域を熟知した地元企業が疲弊して災害対応要請にも応じられなくなっていく、という構図だね。
D 発注者との関係が濃密だからこそ、除雪でも発注者が保有する機械にオペレーターとして応援することで24時間対応も可能となる。その関係が希薄になれば無理な要請に応えられなくなるのは、当然なことだ。そう考えると、今回の首都圏での降雪対応の問題は、中長期的に建設市場が減少していく中で、全国各地でも問われていることなのではないか。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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