高級住宅地であり、おしゃれな街並みが人気を集める東京・中目黒。東急東横線の中目黒駅からほど近い山手通りの地下では、都市土木でありながら山岳工法によってトンネルを構築する珍しい工事が進んでいる。首都高速道路中央環状品川線の関連工事で、熊谷組・京急建設JVが施工する換気所ダクト接続工事だ。換気所立坑から地下10階まで下り、現場を取材した。
横坑4トンネル内部に設けられたセントル |
◇地盤改良3種を組み合わせ
凍結工法の注入口 |
近接する本線シールドトンネルに影響が出ないよう、センサー類でセグメントの変位などを計測しながらの慎重な施工が求められた。地盤改良後、探査ボーリングを経て順調に掘り進め、横坑4本の掘削を無事に終えた。現在の進捗率は約8割。横坑の仕上がり内径は5-5.7mで、4本の総延長は135.5m。アーチ部には中流動コンクリートを採用するなど施工品質にも配慮している。
◇スタッフは2倍
現場の概要図 |
都市土木の現場では施工上さまざまな制約があるが、この現場も例外ではない。換気所立坑からクレーンで資機材を上げ下ろしするものの、開口部はわずか4.5m四方しかない。また、地下10階部分の現場までは階段で上り下りするが、「1日に何往復もすることがある」(大北所長)となると肉体的にもこたえる。現場内では作業場所が分散している上にアクセスが悪く、遠回りしてようやくたどり着く部分もある。
中目黒という場所柄もあり、近隣対策には非常に気を使う。地下の現場は24時間体制だが、沿道対策として地上部での工事車両の出入り時間には制限を設けている。一方、作業員に対してもモラルや身だしなみの徹底を呼び掛けているという。
大北所長は「工期、コストともに非常に厳しい工事だが、安全を最優先して工事を進めている。工期内に無事故で引き渡せるよう、協力会社を含め全員が一致団結して取り組んでいる」と、完成に向けた意気込みを語る。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年6月5日
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