2016/08/27

【本】トンネル内部に永遠感じる奥行きを表現 徳川弘樹著『軌道回廊』


 著者は、日本トンネル技術協会(佐藤信彦会長)が設立40周年記念事業の一環として実施したフォトコンテストで、最優秀賞を受賞した写真家。

 全国各地のトンネル内部について、露光時間を変えたものを複数枚撮影し、それを重ね合わせた「HDR(ハイダイナミックレンジ)」という技法で撮影した。普段は暗く肉眼ではとらえにくいトンネル内部の模様が、明るく鮮明に表現されている。
 数年来、同人誌として人気を博していたものを、判型を大きくし、印刷技術を飛躍的に向上させてまとめた。左右に2つのトンネルが見開きで並ぶように写真を配置。あたかも鉄道の複線トンネルのように、平行する世界がページをめくるたびに奥深く進んでいく構成を意識している。「規則的で連続した奥行きは永遠を感じさせ、曼荼羅絵に描かれた宇宙のようにも見える」(あとがき)。そこには神聖な空気が漂っているかのようだ。 
(実業之日本社・2800円+税)

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