2016/07/22

【記者座談会】「秋枯れ」対策、補正予算に期待 道路メンテは相当量の発注、 今後も増加か

A 参議院選挙も終わり、建設業界の最大の注目は2016年度第2次補正予算に移っているけど、具体的な動きも出始めているね。写真は細田博之自民党幹事長に要望書を手渡す全国建設業協会の近藤晴貞会長(右から6人目)

B 公共事業予算の上期8割執行による「秋枯れ」対策として、安倍晋三首相が指示した経済対策の取りまとめが7月内に迫る中、公共事業関係費がどの程度盛り込まれるのかが最大の関心事だ。
A 20日には、国土交通省が自民党の国土交通部会に経済対策の考え方を提示したけど、どういった弾出しだったのか。
C 中長期的な成長基盤を支える21世紀型のインフラ整備として、リニア中央新幹線、整備新幹線、高規格幹線道路など広域的な高速交通ネットワークの整備・活用などが列挙されている。国際競争力の強化に向けた首都圏空港や国際戦略港湾の整備なども盛り込まれている。
B 生産性向上に向けたi-Construction(アイ・コンストラクション)の推進や建設業の担い手確保・育成対策も主要項目に挙げている。観光振興のためのインフラ整備、海外の成長市場を取り込むためのインフラシステムの海外展開など、盛りだくさんだ。
A 20日には建設業の主要団体も自民党に要望を提出しているが、具体的な内容は何か。
 
二階俊博自民党総務会長(中央)に要請書を手渡す
日本建設業連合会の中村満義会長(左)と山内隆司副会長
B やはり「秋枯れ」に対する懸念が根強く、共通しているのは公共事業関係費を多く盛り込んだ補正予算の早期成立だ。工事量の地域間格差是正も大きな課題になっており、アベノミクス効果をいかにむらなく波及させことができるかが、補正予算編成の1つのポイントになりそうだ。
 
◆道路メンテナンス会議
A 道路管理者でつくる2016年度の「道路メンテナンス会議」が全国各地で開かれているね。
D 19日に開かれた東京都道路メンテナンス会議(会長・西川昌宏関東地方整備局東京国道事務所長)で報告された15年度の点検結果によると、緊急に措置が必要なものはなかったが、早期に措置を行うべき状態の橋梁が124橋、トンネルが8本あった。
A 実際に点検業務を担っている建設関連業の動向はどうなの。
E 国土交通省のまとめた動態調査報告によると、ことし5月の測量業(50社)の契約総額は87億円で、前年同月の共通回答会社による比較は33.6%減、建設コンサルタント(同)は415億円で17.2%増、地質調査業(同)は60億円で7.7%減となっている。
A 契約総額の最も多い建設コンサルタントはどんな状況なの。
E 建設コンサルタンツ協会(長谷川伸一会長)によると、全体の受注量は把握していないとしながらも、「各社、業務量に関しては相当増えている。かなりのボリュームが発注されている。1件当たり1億円を超える業務もあり、相当の量が全国で発注されている」という。
A 今後はどう見ているのかな。
E まだまだ増えると予測している。「点検した結果に基づいて、損傷が大きい橋梁に関しては、保全・修繕をしていかないといけないし、その設計やもっと詳しい調査など、初期の点検から次のステージに移ることから、点検だけではなくそのほかの部分も進む」としている。
A インフラ整備の新規事業が重点化にシフトし、維持更新分野の取り組みが今後ますます求められる中で、建設関連業の役割はこれからも増えそうだ。
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