2016/07/15

【記者座談会】参院選・足立敏之氏が上位当選 “未来への成長につながる”経済対策は?

A 10日の参議院選挙で、自民党職域代表の足立敏之氏が上位当選した。この結果をどう見るか。

B 近年、建設産業界職域代表の獲得票が低下傾向にあったことを考えれば、今回が29万票を超えたことに正直驚いた。「建設産業再生」を掲げ職域代表として立候補した足立さんの獲得票数が大きく伸びたことは、建設産業界の声を代弁する足立さんと、支持する建設産業界の存在感をこれまで以上に示す結果となった。
C ここ数回の参議院選挙の中で建設業の職域代表としては最も多い得票数を獲得したことで、推薦した各団体も喜んでいるよ。週明けは選挙の話題で持ちきりで、祝賀ムード一色といったところだった。テレビの開票速報でも、かなり早い段階で当確が出たことに対し、「間違いかと思った」と冗談交じりに笑う団体の幹部もいた。
D 今回は、建設業界の一部が関係する農業土木を中心とした支持母体からの候補者との競合だけでなく、合区や激戦となった知事選が重なるなど、厳しい戦いになるとの見方もあった。ただ結果的には、前回と比較して、47都道府県別で前回より獲得票数が減少したのは7県にとどまり、軒並み増加したのが大きな特徴だ。
E 前回は、都道府県別で1万票を超えたのは新潟の1県だけ。前々回は1県もなかった。それに対し今回は、北海道、東京、新潟、岐阜、熊本の5都道県に拡大した。
F 確かに1万票超えが1つの基準として注目されるけど、他府県それぞれが大きく獲得票数を伸ばしたことにも注目すべきだ。例えば、足立さんの出身地など関係のある兵庫や京都、和歌山、長野などは倍増から3倍近くまで獲得票数が増加した。
A 都道府県建設業協会の加盟企業や日本建設業連合会の会員企業、専門工事業団体などがこれまで以上に活動したということか。
B ある建設業関連団体は、本部と全国各支部が役割を分担しながら、足立さんの地元である関西支部を中心に活動を展開した。本部は全国の支部の活動を確認しながら、対応に当たった。
E 関係企業などの積極的な活動が一番の要因だと思うけど、足立さん個人の人脈も奏功したと言われている。また、住宅・不動産、トラック業界などから幅広い支持を受けたことが獲得票の増加につながったと思う。また、大きく票を伸ばした県では、期日前投票が奏功したと見られる。
 
A 参院選が終わったことで、建設産業界の注目は、デフレ脱却へ向け景気を下支えする総合的な経済対策に移るが。
D 政府は月内をめどに経済対策を策定する。事業規模で10兆円を超える大型対策となる見込みで、建設国債の追加発行も検討している。経済対策の裏付けとなる2016年度第2次補正予算案は、9月に召集する臨時国会に提出する方針だ。
F 12日の閣議後会見で石井啓一国土交通相は「国交省として未来への成長につながる分野について、必要な施策をしっかり検討したい」と、訪日外国人観光客4000万人への環境整備、リニア中央新幹線や整備新幹線の整備などを挙げていた。
B クルーズ船需要の取り込みを目指す港湾整備など、生産性革命プロジェクトとして具体化へと歩を進める事業の加速化が期待される。アベノミクスのさらなる加速に向け、地方と都市がバランスの取れた施策の打ち出しが求められると思う。
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