2016/09/09

【記者座談会】建築、土木両学会・災害への対応を発信/築地市場移転、環状2号整備は?

写真は土木学会九州支部を中心とした熊本県益城超で約2600棟に及ぶ悉皆調査などの報告会
A 各学会の全国大会が真っ盛りだ。皮切りとなった日本建築学会は今回どうだったかな。

B 福岡市の福岡大学を主会場に大会としては8月24日から26日まで、関連イベントを含めると23日から27日までの5日間、盛りだくさんのプログラムが用意された。学術講演と建築デザインを合わせた7138題の発表題数は過去2番目に多いという。創立130周年記念大会という位置付けもあって、「みんなと建築」という大会テーマとともに、市民や社会に向けて発信していこうという意気込みが随所に感じられたし、学生を始め、若い世代の参加者も目立った。
C 大会初日に熊本地震災害調査の緊急報告会があったが、九州での大会ということもあってか会場は午前9時15分の開会前から満杯で、座りきれない人であふれかえっていた。新耐震基準建築での一部被害や地盤変状の影響など、なお詳細な検討・検証が必要なところもあるが、総じて「過去に観察された被害」が今回も数多く確認されたという結果からは、防ぐことができた災害だったのではないかという思いを強くした。
A 土木学会は東日本大震災から5年半が過ぎた仙台での開催となったが。
D 東北での開催は8年ぶりで震災後はもちろん初めて。7日から9日までの3日間で約3600件の学術論文発表のほか、市民参加型の講演会や映画会など、こちらもより開かれた多彩なイベントがめじろ押しだ。被災地域の「今」と「これから」についての議論とともに、昨年の関東・東北豪雨、ことしの熊本地震、さらには台風10号による岩手、宮城の緊急被害報告など、前例のない自然災害が頻発する中で土木が果たす役割を発信する場となっている。
B このほか、6、7日には岡山大学で電気設備学会、14日から16日に空気調和・衛生工学会が鹿児島大学で全国大会を開く。地盤工学会の研究発表会も岡山大学で13日から開幕する。
 
築地市場の移転延期決定の影響は
A ところで、小池百合子東京都知事が築地市場の移転延期を決定したね。
E 延期の理由は3つあり、第1が安全性への懸念、第2が巨額で不透明な費用の増大、第3が情報公開の不足だ。移転延期に合わせ、築地場内市場の閉鎖と、その後の解体工事も延期する。築地市場の解体業者は決定済みだが、その開札日が都知事選の期間中だったことにも知事は会見で疑問を呈していた。
F 築地市場解体後の跡地には、2020年東京五輪の選手村、競技施設が集まる臨海部と都心を結ぶ環状第2号線の整備が予定されているが、移転延期によって五輪開催に間に合わない可能性が出てきた。築地市場の区間は、虎ノ門を起点とする地下トンネルの終点部分で橋梁・高架方式とのつなぎ目に当たるため、深度が浅く、移転後でないと着工できない。換気塔も計画していて、担当する都第一建設建設事務所に確認したところ、「当初スケジュールでもぎりぎりの計画となっており、五輪開催までの開通は極めて困難」と嘆いていた。
E 知事は、土壌汚染対策の安全性を確認する地下水モニタリングの最終結果が来年1月に公表されるため、それを待って、新たに設置する市場問題プロジェクトチームで速やかに結論を出す方針だ。
F この事態を都議会自民党も憂慮して、7日に開かれた各種団体に対する17年度予算要望聴取で、「不透明な建設費用の増大に対して建設業界も反論や意見を表明すべきだ」と要望に訪れた東京建設業協会に注文を付けていたが、いずれにしても知事の結論を待たざるを得ないね。
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